大原美術館コレクション展。
最近の日本の金持ちは、いったい何に金を使っているのだろう。
例えばトップ3の柳井正、孫正義、三木谷浩史は。
孫と三木谷が球団を持っていることは知っている。が、その程度か。トップの柳井はどうしている。金を稼いでも、その金を使わなければ稼ぐ面白さも減じるであろうに。
その点、昔の金持ちは偉かった。
松方幸次郎にしろ、石橋正二郎にしろ、出光佐三にしろ。中でも特筆すべきは大原孫三郎である。
大原美術館(ばかりじゃなく、その活動領域多方面にわたるが)を作った。金持ち、こうでなくっちゃ、という人物。
3日前の国立新美術館内のポスター。
正式名称は、「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」。
国立新美術館ニュース、2016年冬号。
表紙写真の作品は、児島虎次郎≪和服を着たベルギーの少女≫。
児島虎次郎、大原孫三郎の1歳下。大原孫三郎の庇護の下、大原美術館の基礎を作る作品を買い集める。
国立新美術館での「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」、そのタイトルに相応しい展覧会である。
150点近い出展作の内、これという作品を20年近く前に求めた図録・「大原美術館の120選」から複写する。
扉にチケットが貼られ、こういう書きこみがあった。
1997年9月15日、広島からの帰りに寄ったものらしい。
エル・グレコ≪受胎告知≫。
大原美術館といえば、まずこれである。
図録のノドの部分、光っているがご容赦を。
パリの画商の店舗で児島虎次郎、エル・グレコのこの作品を目にする。値段はすこぶる高い。しかし、これこそ買うべき作品、と児島虎次郎は考える。で、大原孫三郎へ手紙を出す。
音声ガイドは、恒松あゆみに特別出演・又吉直樹であった。こういう言葉が流れる。
児島虎次郎「グレコ買いたし」、大原孫三郎「グレコ買え、金送る」、という手紙の行き来を。手紙の往復、約60日かかったそうである。
それにしても、金持ちというもの、こうでなくっちゃ。
クロード・モネ≪睡蓮≫。
児島虎次郎、直接モネの元へ行き手に入れたそうだ。
オーギュスト・ルノワール≪泉による女≫。
児島虎次郎、ルノワールへ直接オーダーを入れたらしい。
以下、展示されている大原美術館コレクションのすばらしき作品の幾つかを複写する。20年近く前の大原美術館の図録・「大原美術館の120選」から。
ポール・ゴーギャン≪かぐわしき大地≫。
ギュスターヴ・モロー≪雅歌≫。
ジャクソン・ポロック≪カット・アウト≫。
ルーチョ・フォンタナ≪空間概念MT364≫。
ジャン・フォートリエ≪人質≫。
藤田嗣治≪舞踏会の前≫。
岸田劉生≪童女舞姿≫。
関根正二≪信仰の悲しみ≫。
大原美術館コレクション、古い美術品もある。
これは中国、北斉時代、天保3年(西暦522年)の≪弥勒仏の白玉像≫。
やはり北斉時代の≪着彩の胡人俑≫。
大原美術館の至宝、4月4日まで乃木坂の国立新美術館に展示されている。
実は私、その直前の3月末に倉敷の大原美術館を訪れる予定を組んでいる。
エル・グレコ以下、メーンを張る作品はいないが、存在感のある作品はまだまだある。それが、大原美術館。久しぶりにそれらと。