東洋文庫 孔子から浮世絵まで展。
昨日記した永青文庫での春画展は、日本初の春画のみの本格的な展覧会である。が、1年少し前、東洋文庫で、ある程度まとまった春画が展示された展覧会が催された。
永青文庫は、肥後の殿様・細川家のコレクション。東洋文庫は、三菱財閥・岩崎家のコレクション。
1年少し前の東洋文庫の入り口前。横長の看板が。
東洋文庫、JR駒込から歩いて10分少し。私のお気に入りの場所のひとつ。
1年前の東洋文庫では、「東洋文庫創立90周年 岩崎コレクション〜孔子から浮世絵まで」という企画展が催されていた。
孔子から、というのは、重文の『論語集解』を指すようだが、浮世絵の名品が多く展示されていた。
歌麿の≪高島おひさ≫や北斎の≪諸国瀧廻り≫はじめ、東洋文庫が誇る素晴らしい名品の数々を。
また、このように・・・
東洋文庫が所蔵する春画の名品もまとまって。
鈴木春信≪春画貼込帖≫や鳥居清長≪袖の巻≫を含め。東洋文庫の≪袖の巻≫、永青文庫での「春画展」へも貸し出されている。
東洋文庫創立90周年を記念する昨年のこの企画展、コレクションが持つ浮世絵、特に春画に力をいれていたが、東洋文庫と言えば、これである。
≪百万塔陀羅尼≫。
770年、「陀羅尼経」、日本初の印刷物。
≪梵語千字文≫。
こういうもの。
≪文選集注≫。
平安時代の写である。が、国宝である。
どういうものかと言うと・・・
<『文選』とは、6世紀前半の中国の王朝「粱」の皇太子蕭統(昭明太子 501〜531)が編纂した中国最古の詩文選集です>、というものらしい。そのころの知識人の教養書であったそうだ。
『徒然草』(嵯峨本)。
見返しに鹿の図。マルチ・アーティスト光悦の自筆本。美しい。
『風俗金魚傳』。
1829年。江戸のベストセラー作家・曲亭(滝沢)馬琴の自筆本。
アーサー・ウェイリー訳の『源氏物語』。
<『源氏物語』の外国語訳では最も知られているもの>、とのこと。若いころ、『源氏物語』を手に取り、日本文学に惹かれ、ついには日本人となったドナルド・キーンも、日本との出会いはこの書であったのか。
アメリカ人宣教師、クレイ・マコーレーによる百人一首の英訳書。1917年、横浜刊。
小野小町のページ。
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
この歌について・・・
まず日本語で読んだ時の音を表記し、その後に各語の説明、そして英訳文、さらに作者紹介、作品解釈が、見開き2ページに丁寧に記されている。こりゃ解りやすい。理解しやすい。
東洋文庫そもそもは、1917年に三菱財閥の第3代総帥・岩崎久弥が、モリソン文庫を一括購入したことに始まる。
その左右には、『四庫全書』の棚。
『四庫全書』、清朝の乾隆帝が学者4000人を動員、古今の書籍約8000巻を収録したものである。
今日は、ここまでとする。
しかし、何年か前から東洋文庫のことに触れよう、と考えていた。モリソン文庫のこと、そして岩崎文庫のこと、廊下のこと、しゃれたレストランのこと、面白いんだ。
リニューアル後の東博東洋館もそのうちにと思いながら、伸び伸びになっている。来年はそれに加え東洋文庫のことにも触れたい。
宿題とする。
戦後70年、日韓国交正常化50年、その年も残るところは、あと数日。
日韓両政府、焦っていた。この期を逃すと、ごちゃごちゃとした状況いつまでも続くんじゃないか、と。
今日、日韓外相、元慰安婦問題に決着をつけた。最終的かつ不可逆的に。
何々がどうこう、と言う人もいる。しかし、あまり細かいことは言わない方がいい。
ひと山越えた、と思う方がいい。