みちのくの仏像展。

冬の晴れ間の東博正面。

特別展「みちのくの仏像」。

東北6県から19件の仏像を持ってきた。

やや規模の小さな特別展は、本館正面のこの大階段の裏側の特別5室で催される。

東博本館特別5室、20メートル四方くらいであろうか、あるいはもう少し大きいのであろうか、いずれにしろその程度の部屋である。そこに東北6県を代表する19件の仏像を運びこんだ。ぎっしり詰めこんだ、と言ってもいい。
これが、思いの外面白い。充実感がある。
チラシもそのようなことを意識しているのかどうか、観音開きのチラシを複写。ギッシリ感がある。

右上の薬師如来坐像。岩手・黒石寺蔵。平安時代・貞観4年(864)。

岩手・黒石寺の薬師如来と共に東北の三大薬師と呼ばれるのが、この2体だという。
いずれの像も、巨材から彫りだされた一木造。

岩手・天台寺の聖観音菩薩立象。平安時代・11世紀。
荒々しいノミ目の跡が見てとれる。鉈彫りだ。

秋田・小沼神社の聖観音菩薩立象。平安時代・10世紀。
頭上の大きなこぶには、<化仏というよりも、おかっぱ頭の雪ん子のようです>、と東博。
こればかりじゃなく、みちのくの仏さま、おしなべて人間的、人間味が溢れている。

青森・常楽寺の釈迦如来立象。江戸時代・17世紀。
この仏さま、円空の初期の作。
荒々しいノミ跡の後期の作とはやや異なる。

これも円空仏。
秋田・龍泉寺の十一面観音菩薩立象。
細い目や笑っているような口に円空を感じることもできる。が、後年の鉈で削った”これぞ円空”といった荒々しさとは別種の円空。これもまた円空、面白い。

小規模ながら濃い内容の特別展であった。
音声ガイドもよかった。
図録を買わなくなってから、それまでバカにしていた音声ガイドを借りるようになった。音声ガイド、よく知られた役者が起用されることが多いが、当たり外れがある。思い入れたっぷりに語られても、オイオイ少し違うよってこともある。これの音声ガイドのナレーターは薬師丸ひろ子であった。
薬師丸ひろ子、私の興味のテリトリー外の人であるが、みちのくの仏像展のナレーション、とてもよかった。とても自然で。


今日、ISIL(イスラム国)、アッシリアの石像などを破壊する映像を流した。
タリバーンによるバーミヤン石窟爆破と同様の暴挙。度し難い連中だ。
どう考えても、ムハンマドがそのようなことを命じているとは思えない。