奈良国立博物館の仏。

5月下旬、親父の一人(叔父)の通夜、葬儀で奈良へ行った。老人ホームでの葬儀も終わり、焼き場で遺骨も拾い、精進落としの膳も囲み、儀式は、滞りなく済んだ。
夕刻近いが、まだ4時前、送ってもらう車、奈良国立博物館の前で下ろしてもらった。
久しぶりに奈良国立博物館へ行った。
「御遠忌800年記念、解脱上人 貞慶」、という特別展をやっていたが、私は、常設展を観たい。
幾つかある国立博物館の中、仏像に関しては、やはり奈良の国立博物館である。さほど、規模は大きくはないのだが。

奈良国立博物館の本館。今、”なら仏像館”、と呼ばれる。
できたのは、明治27年(1894年)。煉瓦造りの欧風建築。重要文化財に指定されている。

本館、”なら仏像館”では、名品展「珠玉の仏たち」展をやっている。
入ってすぐの第1室の正面には、国宝、木造薬師如来立象がある。堂々たるお姿だ。
第2室には、とても面白い仏さまがある。裸形の仏さまである。「阿弥陀如来立象」、重要文化財である。
像高106.5センチ、檜の一木造り。古色、玉眼であるが、素っ裸の仏さま。鎌倉時代、13世紀に造られた。ただ、お腹に輪宝があり、股間には蓮華形がある。西洋のイチジクの葉と同様だ。
説明には、こうある。
このままではなく、衣服を着せて祀っていた、と。鎌倉時代には、多く造られた、と。阿弥陀如来像が多い、と。単なる偶像としての仏像ではなく、生身の如来として崇める信仰から生まれたもの、と。
しかし、どんなものだって言われても、その姿を出すことはできないんだ。
東京と奈良、同じ国立博物館ではあるが、その実際は、さまざま異なる。
東京の国立博物館・東博では、常設展の場合、一部を除き、ほとんど撮影が許されている。しかし、奈良の国立博物館では、撮影は一切禁止。
だから、面白い仏さまなんだが、どういうものかお見せすることはできない。

奈良国立博物館、”なら仏像館”である本館と東と西の新館の間に、地下回廊がある。
その長さ、約150メートル。このようなものである。
左は、仏像の印相の解説、右に微かに見えているのは、重文の持国天立象にX線を当てて調べているようだ。

地下回廊には、こういうものもある。
国宝、十一面観音。奈良国立博物館の所蔵である。
この一幅、縦169センチ、横90センチ。絹本著色。法起寺伝来、とされる。平安時代、12世紀の作。
国宝、十一面観音像の工学的調査を、東京文化財研究所と共同研究の協定を結び、高精細デジタルカメラを使用し、カラー画像、反射する近赤外線画像、透過近赤外線画像、可視励起光による蛍光画像の撮影、によって究明するさうだ。


頭部の画像は、こうなっていた。
左:カラー、中:反射近赤外線、右:透過近赤外線、と。

このようなこともやっているようだ。

目や口その他も。
何だか、あまり面白くもないな、という気もするな。
仏さまは、仏さまでいいじゃないか、という思いがする。