ヨルダンの矜持。

昨夜、<表面上、動きはない。でも、どこかで動いているのかもしれない。>、とブログの末尾に記した。やはり、動いていた。
湯川遥菜さんが殺害され、その写真を持つ後藤健二さんの写真が投稿された。後藤さん自身と思われる英語での音声も。
「イスラム国」、身代金要求から、ヨルダンで囚われ死刑判決を受けているイラク人テロリストとのバーターに切り替えた。このテロリスト、ヨルダン市民50人を殺害した自爆テロの生き残りだという。ヨルダンにとっては受けいれ難いものである。また、先月、ヨルダンのパイロットが「イスラム国」に拘束されている、という事情もある。その2人のバーター、ということも考えられるから。
日本政府は、拘束された2人の日本人を殺害する、という脅迫を受けた時からヨルダンとは緊密な関係を築いている。現地対策本部もヨルダンのアンマンに設置している。
ヨルダンは王国である。国王が対応している。安倍晋三との電話ばかりじゃなく、現地対策本部のチーフ・外務副大臣の中山泰秀との面会も。
しかし、日本人と死刑囚であるテロリストとのバーター、ヨルダンにとってとても難しい。
ヨルダンの矜持がかかっている。
しかし、日本政府、後藤健二さんまで殺されるワケにはいかない。「イスラム国」と同様、ヨルダンとの間でも難しい折衝を続けなければならない。
ヨルダンの矜持を保つ、ということを常に念頭に置きながら。
一国の矜持を、金で購うことなどはできない。
しかし、言わず語らず、最後には三角貿易となるんじゃないか、という気が何げなくしている。後日、ヨルダンのインフラ整備に1億ドルの支援、という形で。日本は、テロリストの身代金要求に屈しなかった。1人ではあるが人質を取り戻した、と。
言わず語らず、ヨルダンの矜持をも護り、と。
楽観的すぎるかな、とは思う。でも、こうなるんじゃないかな、と思われてならない。


今日、初場所千秋楽。
今場所、前半は何日か観たが、後半はまったく観ることができなかった。楽日の今日は観たが。
楽日を待たず、13日目で白鵬の優勝が決まっていた。

白鵬の優勝回数、大鵬を越えた。
あの大鵬を。

連続優勝の記録も。

この記録も、白鵬ダントツ。
何故、白鵬がこれほどまでに強いのか。不思議である。
実は、白鵬の相撲、このところ荒くなっているというか、雑になっている、と私は感じている。
それでも白鵬は勝ち続けている。今場所も全勝。周りの力士が弱いのは事実である。それにしても、である。これでいいのか、とも思えてくる。
初場所千秋楽、結びの一番は、東西両横綱の対決だ。懸賞が61本も懸る。まさにバブルであろう。
でも・・・

今までの対戦成績、このようなもの。
これは、尋常ではない、どう考えても。

全勝優勝を目指す白鵬、鶴竜の胸に頭をつける。
このような白鵬、初めて見た。もちろん、勝った。

今場所の三賞。
殊勲賞も技能賞も該当者なし。
敢闘賞候補に3人の力士の名がある。いずれも今日勝てば、というもの。照ノ富士のみが勝ち、敢闘賞を受賞した。
照ノ富士、8勝7敗ながら、来場所の新三役も確実なものとした。
それはそれとし、昨日記した『文藝春秋オピニオン 2015年の論点100』には、政治や経済、国際関係ばかりじゃなく、文化やスポーツの今年の論点も記されている。
やくみつるが、「遠藤は横綱になれるか?」、というテーマで書いている。
やくみつるの考察はこうである。逸ノ城や照ノ富士といった大型力士は横綱への階段を上がるであろうが、遠藤は、というもの。私も、遠藤は難しい、と考えている。残念ながら。

8日目中日、天皇皇后両陛下が観戦されていた。
この前日には、神戸での阪神淡路大震災の追悼式典に出席されていた。国技館へは、4年ぶりとのこと。お楽しみになられていたようだ。

打ち出し後、天皇皇后両陛下は何度も何度も、国技館のあちこちへ会釈を返されていた。
今年は、戦後70年。数日前、天皇皇后両陛下が4月にパラオへ行かれる、とのことが発表された。
両陛下、戦後60年の年には、サイパンへ行かれている。バンザイクリフへ向い、首を垂れられていた。
戦後70年となる今年は、やはり激戦地であったパラオへ戦死者慰霊の旅を続けられる。
日本国民として、とてもありがたい。
でも、今上天皇がお隠れになられた後が心配である。その後の皇統、”正”ばかりじゃなく”負”の遺産も護ることができるのか、と。