「富国強兵」ねー。

春秋戦国時代、多くの国が起こり軍備拡張競争を行っていた。「富国強兵」競争を。中国での話。しかも、紀元前8世紀から紀元前3世紀にかけてのことである。
今日、第12期中国全国人民代表大会の閉幕演説で、国家主席・習近平はこう話している。
「戦争に打ち勝つ強い軍を作る」、と。
「富国強兵」である。「中国の夢」と一体化して。2千数百年、3千年近く前の春秋戦国時代に戻ったかのよう。
今日、防大の卒業式で、安倍晋三はこう訓示した。
「南西地域を含め自衛隊の対応能力の向上を進める」、と。
日本の「富国強兵」は明治維新後、せいぜい百数十年前、欧米列強に追いつき追い越せであった。70年近く前、昭和20年に潰えた。が、尖閣での中国の挑発に対抗し、また復活の兆し。
2013年度の中国の国防費は、7406億元(約11兆1100億円)。25年連続2桁増。
同じ今年度の日本の防衛費は、4兆7538億円余。11年ぶりに防衛費が増額された。
「富国強兵」競争、しゃかりきになって続けるってことなんだな。国と国の間では。
しかし、東博の世界では、少し趣を異にする。
東博では、昨年初めの「北京故宮博物院200選」展から今月初めまで行われていた「書聖 王羲之」展まで、この1年余の間に7つの特別展が催された。その7つの特別展の内5つに、「日中国交正常化40周年」の冠がついている。
東博、また、中国の博物館や美術館、”尖閣問題なんかどこ吹く風”、というようにも思える。
何やかやがあり積み残したが、昨年末まで開かれていた「中国王朝の至宝」展もそうである。
中国各地の博物館からの至宝が168件展示されていた。内、国宝級の「一級文物」が約60%を占める。気合が入っている。

昨年末の東博正門前。
この日はチャリンコが少ないな。

<「夏」から「宋」まで、歴代王朝の至宝対決を今ここに>、とパンフレットの惹句にある。
「夏」から「宋」までって、紀元前2000年から紀元後1200年までということ。中国、古くて長い歴史がある。尖閣ごときにどうのこうの、とかかわずらなくってもよかろうに。そう思う。

この特別展、”2つの王朝の対決”、というコンセプトで貫いていた。
下は青銅製の「爵」。殷時代・紀元前16〜紀元前15世紀の作。上は紀元前12〜紀元前10世紀、蜀の時代の「金製仮面」。

”近世の胎動”。
「宋」にしろ「遼」にしろ、約1000年前の国。長い歴史を持ってるな、中国は、という展覧会であった、ような気がする。
中国、尖閣ごときにかか煩わなくてもよかろうに。