納めの場所の千秋楽。

九州場所、一年納めの11月場所である。しゃかりきになる、というほどではないが、家にいる時にはテレビの前に座る。今日は、その納めの場所の千秋楽。
今場所の”売り”は、何と言っても日馬富士の横綱昇進、久しぶりの二人横綱の誕生であった。楽日、千秋楽での両横綱の相星対決、全勝対決、というもの。日本相撲協会も理事長の北の湖も、しきりにそのことを言っていた。

日馬富士の土俵入り。
白鵬と同じ不知火型。露払い・旭日松、太刀持ち・安美錦。運動神経のいい日馬富士、様になっている。

白鵬の土俵入り。
露払い・旭天鵬、太刀持ち・魁聖。不知火型、堂々のせり上がり。

今日、千秋楽、結びの一番。
しかし、白鵬の23回目の優勝は、昨日決まっている。日馬富士は、昨日までに5敗している。こういうことはありうる。
9月場所の後、このブログに記した。日馬富士は、全勝することもあるが、二桁の勝ち星が挙げられないこともある力士である、と。日馬富士、横綱への昇進条件は満たした。しかも、二場所全勝で。文句ない昇進である。
しかし、横綱を張り続けることはキツイ横綱となろう。

白鵬、下手投げで日馬富士を下す。14勝1敗での優勝だ。
日馬富士、終盤5連敗で、クンロク(9勝6敗)となる。クンロク、大関ならばまだ許される。今場所も、鶴竜と琴欧洲は、クンロクだ。琴奨菊に至っては、8勝7敗。しかしである。横綱のクンロク、許されるはずがない。昇進したばかりだとはいえ、来場所の日馬富士、勝負の場所となる。

今年の優勝者、4人にも分散したんだ。
中でも、初場所優勝の把瑠都、怪我で来場所は関脇に落ちる。怪我を直し、来場所、元気な姿で土俵に上がることを願っている。把瑠都、怪我さえ癒えれば10勝は軽い。大関復帰も叶うだろう。

豪栄道は頑張った。今日も、琴奨菊を突き落とした。突き落とされた琴奨菊、一回転している。
これで11勝。技能賞も取り、来場所以降の大関取りの足がかりを掴んだ。

それに引き換え、妙義龍はおかしかった。10日目で8敗、負け越した。
私には、妙義龍が負け越すことがよく理解できないんだ。妙義龍、身体はさほど大きくはない。しかし、妙義龍、私から言わせれば、相撲の職人、相撲のアルチザンなんだ。大負けをすることがない相撲取り、と考えているのだが。
しかし、負け越した後の妙義龍、1横綱、2大関を破っている。上の写真は、私はその日に見たものではないが、その翌日、13日目に流れた映像。12日目に日馬富士を破った一番である。妙義龍、また三役へ戻ってくるであろう。

この色の黒い、いかつい顔の力士、松鳳山である。10勝5敗で敢闘賞を取った。
身体は大きくない。しかし、印象に残る力士である。

彼の髷を見てくれ。まだ大銀杏が結えないんだ。
幕下付け出し以外、初土俵から入幕までたった9場所、最速で駆け上がってきた力士・常幸龍である。
まだ大銀杏が結えない最速力士、期待を裏切り、負け越した。来場所は、十両へ落ちる。
解説の舞の海、こういうことを言っていた。「このところ、幕内に定着できる力士は、日体大や駒澤大が多い。日大の出身者は意識が薄いんじゃないか」、ということを。
その是非、私には分からないが、常幸龍も舞の海も日大の出身なんだ。で、舞の海、カッカしている。

幕下以下は、一場所7番である。だから、13日目には、各段の優勝者が出ることがある。
13日目、序の口優勝・舛東欧と出た。ハンガリー出身の力士である。
”序の口”に驚いた。何しろ、臥牙丸を少し小さくしたような体躯である。さらに、話す言葉に驚いた。流暢なんてものでない日本語だ。自分も、いい年なので考えないと、なんてことを話している。
舛東欧、初土俵は平成17年1月場所なんだ。今場所大活躍の、豪栄道や栃煌山などと同期なんだ。幕下あたりで取っていたが、大怪我をして休場、今年は、幕下から三段目、序二段、序の口、と下がってきたそうだ。年は、間もなく27歳。白鵬とさほど変わらない。
白鵬の幕内優勝の賞金は1000万円。舛東欧の序の口優勝の賞金は10万円。白鵬の100分の1。舛東欧、せめて十両へ上がってほしいな。上がらせてやりたい。

結びの一番にも勝ち、床山に髪を結い直させている白鵬。

白鵬の力は健在なのか、衰えているのか。まだ、衰えるには早い、というのが妥当であろう。白鵬、まだ優勝を重ねるに違いない。
それよりである。白鵬、優勝インタビューの中でこういうことを言っていた。
モンゴルの両親へ話していいですか、と断った上で、モンゴル語で話した。NHKのアナウンサーが、今の言葉を日本語で言って下さい、と言った。白鵬、こう言った。
「人はその故郷を愛し、両親を愛すれば、また、それぞれの国を愛することができるのじゃないか」、というようなことを言った。厳密に言えば、少し違ったところがあるかもしれない。しかし、白鵬、こういうことを言った。
その後、NHKのアナウンサーが、「今の情勢を考えますと、白鵬の言葉・・・・・」、と話した。解説の北の富士、こう応えた。
「そういうことですかね。そこまで踏み込んだことを言った人、いませんがね。大した人だ、見上げた人だ」、と。
白鵬の今日の発言、こういうことだったのであろうか。
白鵬、まだ27歳の若者である。相撲が強いばかりじゃなく、考えさせ得る男である。