2012年11月22日、ジュンク堂池袋店7F。

ジュンク堂池袋店での「どうぶつ社の36年」フェア、ほぼ2/3の会期を消化した。4日前に行った。
どうぶつ社の久木亮一はいなかった。そりゃそうだ、たまに覗きに行くぐらいだろうから。このフェアの仕掛け人・ジュンク堂の矢寺さんの姿もなかった。カウンターの所へきた係りの人に聞くと、矢寺さんはその日お休みとのこと。話し相手がいない。仕方ない。

カウンター前のどうぶつ社フェアの平積み台、売れているようだ。先月末より、嵩が減っている。
左下に少し見えているカゴ、お客さんのものである。若い女性であった。何冊かカゴの中に入れている。平積み台から離れたな、と思ったら、暫らく後でまた戻ってきた。

ここも減っている。売れている。
右側のシリーズ本は、久木制作のコピーを綴じた「どうぶつ社の36年」史に、<東京動物園協会が編集し、小社が製作に当った『世界の動物 分類と飼育』(全11巻)のシリーズは、このジャンル唯一の貴重な資料です>、と吹き出しに記しているもの。また、WWF(世界自然保護基金)の人が、手書きPOPに、「・・・・・、今も仕事に欠かせません。特に、薮内正幸さんの細密画は圧巻です」、と書いていたもの。
いずれも、あと3冊ずつしか残っていない。
カウンターへ戻ってきたジュンク堂の人に、「どうぶつ社の本、大分売れているようですね」、と聞くと、「ええ、大分出ています」、と返ってきた。さよならフェアだ、そうこなくっちゃ。
10月末のブログ、「50枚の手書きPOP」を読んだ千葉県在住の知人が、期間内に一度ジュンク堂へ行こうと思っている、と言っていた。おそらく、普段は池袋へ行くことなどあまりなかろう、という男。どうぶつ社の出版物はもとより、50枚の手書きPOP、皆さんの興味をそそるんだ。

日本野鳥(あの後の私、近所の小学校へ少し通い、”鳥”の字を教えてもらった)の会の飯塚さんの手書きPOPには、大きなトンボがとまっていた。

シミ有り、キズ有り、黄ばみ有り、カバー焼け、その他諸々の理由による”ワケ有り本”、残っているのは、これだけであった。
これしかないという本というもの、それぞれの人の興味の範疇ならば、ワケ有りなど、どうってことない商品である。来月10日の最終日までには、”ワケ有り本”も完売するであろう。

ジュンク堂池袋店7階の少し離れた所には、非常口がある。
その扉に何枚ものチラシが貼ってあった。

「どうぶつ社の36年」は、一番上に貼ってある。
その右は、学会誌の取り扱い一覧。日本貝類学会、蜘蛛学会、中ほどにはダニ学会の文字も。

その下は、イラスト展。その下には、昆虫を食べる女子会の案内。

これだ。
”蝉○○おこし”とか、”バッタの飴がらめ”とか、”カマキリちらしと黄金豆”とか、といったものを食する女子会らしい。女子会、何でもありだから。

いろんな催しをやっている。今週土曜日には、「マグロたちのスーパーパワー」だ。

こういうものも。
ところで、今では取り入れている大型書店も増えているが、店内でどうぞ読んでくださいというシステム、その嚆矢はジュンク堂ではなかったか。立ち読みどころか、どうぞ座って読んでくれという商策、初めは驚いた。
長期間に亘る”作家書店”もユニークな制度である。
初代店長は谷川俊太郎、次いで安野光雅、椎名誠と続いた。10年から6〜7年前。常識的、穏健な人選だ。この頃は、私も現役、池袋へも行っており、ジュンク堂の客でもあった。
4日前のジュンク堂池袋店の7階には、歴代店長の写真も貼ってあった。赤瀬川原平や佐藤優が店長の時代もあったようだ。穏健から、何となくヤバイ人選になっているんじゃないかい。その分、面白いが。今年の店長は、佐高信だった。ラディカル、ヤバイ路線、継続中の模様。ドンドンやってくれ。
久木亮一が世に問うてきたどうぶつ社の書は、ヤバイ書ではない。高尚、高踏な書である。しかし、世に阿ねる書ではない。その点、世の中庸を離れたヤバイ書と同様だ。
そのような書を世に送り出してきた出版社・どうぶつ社のさよならフェアを催すジュンク堂、大した書店、腹の据わった本屋である。
ひょっとして、私、ジュンク堂の宣伝部員と受け取られるんじゃないかな。こんなことを書いてると。もちろん、私、ジュンク堂と何らの利害関係はない。
ただ、4日前、11月22日のジュンク堂池袋店の7階に行ったら、こうでありました、ということだけ。