夏場所千秋楽 「金の扉が・・・」、と白鵬は言う。

双葉山は、天下無双の大横綱というばかりでなく、思索の人でもあった。その双葉山を尊崇、敬愛している白鵬、時折り、ウヌッということを言う。
今日、夏場所千秋楽。
優勝を決めた後の白鵬、インタビューに答えこういうことを言っていた。「金の扉というものがある。そこには、横綱、大関がいる。若い連中が来てもはね返す。壁になる」、と。
”金の扉”の話、モンゴルの喩え話にでもあるのだろうか。若い力士が出てきてもぶっ潰してやる、ということと共に、若い力士にオレたちを乗り越えろ、というメッセージを送っている、とも取れる。
あちこち出歩いていたので、今場所見たのは半分もなかったか。

今日の国技館、今場所10回目の”満員御礼”だそうだ。
若い力士、就中、遠藤効果によるものであろう。

4日目、鶴竜対遠藤。

立ち会い後、互いに突っ張る。

遠藤、左を差し、

新横綱・鶴竜を寄り倒す。初金星。

それより何より、今場所の遠藤、髷を結っている。
大銀杏ではないが、これもカッコいい。
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中日の遠藤、対稀勢の里の一番。

時間一杯、行司の軍扇が返る。

左四つ。

遠藤、頭をつけるも、

押し倒される。
白鵬の言う”金の扉”に跳ね返される。
遠藤、まだまだ。地力の違い、ありありである。

今日、千秋楽の遠藤、6勝8敗、すでに負け越している。
今日の相手は、貴乃花部屋の初めての関取・貴ノ岩。今場所、星はあがっていないが、地力のある力士である。

遠藤、下手投げで勝つ。
これで7勝8敗。負け越しであるが、上位陣と当たる前頭4枚目でのこの星は、まあ今の遠藤にとっては合格点ではなかろうか。

この頃、こういう映像が流れた。
内閣総理大臣杯を渡すため、安倍晋三が国技館へ来たようだ。都知事杯を渡す舛添要一と何やらペラペラ。

取組みは進む。
夏場所千秋楽、残るは二番。
土俵下、控えの白鵬と稀勢の里。
稀勢の里が勝ち、白鵬が負ければ、優勝決定戦となる。取組みを前にした両者の表情。

稀勢の里対鶴竜の一番。

稀勢の里、鶴竜を突き出した。
新横綱・鶴竜、9勝6敗。
予測はできた。日本相撲協会、横綱を作るに甘すぎる。たった一度の優勝でどうこうするからだ。好漢・鶴竜には申しわけないが、まだ横綱の器ではないんじゃないか。

今日結びの一番。
白鵬対日馬富士の一番。

白鵬、上手投げで日馬富士を敗り、29回目の優勝を為す。

理事長・北の湖。

安倍晋三、満面の笑みで内閣総理大臣杯を渡す。

白鵬の親御さんも来ている。
2年ぶりだそうだ。二親、嬉しそう。

優勝を決めた後の白鵬、髷を結い直している。
今場所は髷の話題が多かった。髷を掴んだとの反則負けも何番かあった。

昨日の日馬富士対稀勢の里の一番。
日馬富士、髷を掴んだとの判定で反則負けとなった。
稀勢の里、それで生き返っていた。だから、準優勝の稀勢の里、来場所が綱取りの場所になることはない、という理事長以下協会幹部の談話、しごく当然であろう。

「29歳となって29回目の優勝をして」、と話し、「金の扉が・・・」、と話す白鵬、横綱となって7年である。
どこかにガタがきても、おかしくない。
それでも圧倒的な力量、存在感。三横綱なんて、チャンチャラおかしい。”金の扉”物語を語っても当然だ。


何日か前、元理事長の放駒が死んだ。
元大関・魁傑の放駒、才能溢れる立派な人物であった。八百長問題など難問山積の日本相撲協会を立て直した。
相撲協会の理事長、双葉山の時津風以後、優れた理事長は、元幕内・出羽ノ花の武蔵川と元大関・魁傑の放駒の二人。
横綱ではなかった武蔵川にしろ放駒にしろ、立派な組織人であった。