奥多摩歩き (4) せせらぎの里美術館。

御岳美術館から2〜3分か4〜5分歩いた所に、せせらぎの里美術館がある。民家風の建物。奥多摩町立の美術館である。

築後約150年の奥多摩の民家を一部移築したもの、という。

中へ入る。
囲炉裏が切られている。窓の外は多摩川が流れる。

奥多摩の地、アートの地でもあるらしい。奥多摩のあちこちにアトリエや工房を構えるアーティスト、多くいるようだ。
9月1日から9月30日にかけ、第4回奥多摩アートフェスティバル・「おくてん 2012」が催される、という。御嶽から奥多摩湖にかけて、31の会場で40の催しが開かれるそうだ。

「おくてん 2012」に参加している作家のポスターと、作品1点が展示してある。
さらに中へ進むと・・・・・

オッ、なんじゃこれは。
天女の羽衣のようなものがある。下の方には、何やらヘンなものが目に入る。

下への階段を下りると、正面、部屋の端の方に、コンクリートの塊のようなものがある。しかし、これはコンクリートではなかった。大きな石、岩なんだ。多摩川、御岳渓谷の岩を、家の中にそのまま取り入れてある。
なんとー。やってくれるものである。
しかし、ちょっと待てー。
私たちは1階からこの美術館へ入った。そして、1階から下へ降りた。いわば地階へ。どうも、こういうことらしい。御岳渓谷の遊歩道から川原の方へ降りた、ということ。
だから、川原の岩が家の中に食い込んでいるのも、おかしくはない。あり得ることだ。でも、少しはおかしいか、な。
それはそれとして、「おくてん 2012」に参加しているアーティストと、奥多摩町の保育園児、小学生、中学生によるワークショップの作品が展示されている。岩の周りに見られるような作品。これが面白い。

「地域のクラフトマンを訪ねる 染色」となっている。
氷川中学校と古里中学校の3年生8名が、染色家・山染紡を訪ね、絞り染めでTシャツとハンカチを染めたもの。

氷川小学校5年生14名が、日本画家・工藤洋子の指導で作ったフロッタージュ。鉛筆と紙を用いたシンプルな絵画制作である。マッスになると、より面白い。

「吹きわたる色彩の風」という布作品。

こういう小学生が、こういう素材を使って作り上げたそうだ。
素晴らしい、なんてものじゃない。ホント、天女の羽衣に見紛う美しさ。

「赤い鳥・青い鳥」。折り紙とは少し違うようだ。

こういう子供たち(オッ、保育園児だ)が、こういう人の指導の下、こういうようにして作ったんだ。
とても面白い。味がある。これらの鳥たち、あちこちに飛び回っている。赤と青っていうのも、解りやすくていい、な。

トイレの前に、この暖簾が下がっていた。
下の方に漫画のような絵が描いてあり、上の方には、”雪隠”の左下に、”紀久雄”というサインが見てとれる。
「この人、知ってる? ここ、初めはこの人から始まったようだ」、と案内役の山本は言う。言われて思い出した。2〜30年前か3〜40年前、松下紀久雄という漫画家がいた。その人の描く漫画、このような人の姿であった。
松下紀久雄、この近辺にアトリエを持っていて、2〜30年前、”松下紀久雄むかし絵美術館”というものを作ったそうだ。
それが、さまざまなことがあったのであろう、今、奥多摩町立の”せせらぎの里美術館”となっている。とてもユニークな美術館に。その紆余曲折は知らない。でも、今、とても素晴らしい美術館。