奥多摩歩き (3) 御岳美術館。

玉堂美術館から、多摩川(昨日、一昨日、書き忘れたかもしれない。ここ、多摩川の上流です)沿いの御岳渓谷の遊歩道を2〜30分も歩いたろうか。こういう立札がある。

御岳美術館、あと少し。

ここらあたりは、流れが緩やかだ。このような橋を渡してある。

釣り人が何人も集まっているところがある。フィッシングセンターだそうだ。川だから、釣り堀とは言わないようだ。
しかし、流れが急なところで、ポツリポツリとただ一人で糸を垂れている釣り人に比べると、何だか軽いな。
らしくない。せっかくの渓流なのだから、釣り堀のようなところで釣らない方が面白かろうに、と思う。

そうか。多摩川の上流には小河内ダムがあるんだ。

そのすぐ近く。家々が見えてくる。

少し大きな山小屋のようなこの建物、「MITAKE ART MUSEUM」と書いてある。御岳美術館である。
御岳美術館、正確に言えば、「たましん御岳美術館」という。公益財団法人たましん地域文化財団が運営する美術館である。
じゃあ、”たましん”って何なんだ。多摩信用金庫である。知らなかったが、驚いた。多摩信用金庫、多摩地方ばかりじゃなく、立川、八王子など東京西部に80を超える支店を張り巡らせている。実は、この日の案内役である山本宣史は、学校を出た後定年まで多摩信用金庫に勤めていた。何のかの美術には思い入れの深い会社であったそうだ。
御岳美術館で貰ったパンフレットには、1991年、多摩在住の洋画家・倉田三郎から絵画、スケッチ、関係資料などの寄贈を受け、「財団法人たましん地域文化財団」が設立され、1993年、美術館が開館された、とある。
それもあるが、多摩信用金庫のトップ、会長というのか、理事長というのか、会頭というのかは知らないが、いずれにしろ、その人が美術好きの人であった、という。で、作品を次々と買い集めていったそうだ。永年、”たましん”に勤めた山本宣史の話である。
いや、とても立派な個人美術館である。

美術館前の看板。

その看板に出ている主な所蔵作品。
上段左端は中原悌二郎のブロンズ≪若きカフカス人≫、右端は浅井忠の油彩≪収穫≫、2段目中央は高村光太郎の≪手≫、その左は熊谷守一の≪鬼百合≫、右は荻須高徳の≪ルシアン≫、ロダンの≪カレーの市民≫の第一試作や棟方志功、藤島武二や岸田劉生もある。
この他、学校の美術の教科書に出ているような作品がいくつもある。どこやら優等生、というような作品が。
さすが金融機関の美術館、生真面目である。でも、気持ちいい。