三枚看板だった、と言ってやりたかったが。

3日前、柔道女子57キロ級で松本薫が優勝した。その後のインタビューで、柔道女子監督の園田隆二、こう言った。「すみません。二枚看板ではなく、三枚看板でした」、と。
48キロ級の福見友子と52キロ級の中村美里、この二枚看板の金は固いが、57キロ級の松本薫には、そこまでの期待はかけられない。監督の園田隆二がそう思うばかりでなく、国民の多くは松本薫の名前すら知らなかった。
二枚看板と言われていた福見友子と中村美里は、金どころかメダルに届かず、松本薫が金メダルを取った。で、監督の園田隆二、笑いにまぶしての”三枚看板”発言であった。
昨夜遅くというか今日未明というか、多くの日本のメディアが、男の二枚看板と報じる2人の男が登場した。北島康介と内村航平の2人。
北島康介の五輪3連覇、100メートル平泳ぎでは叶わなかった。5位に沈んだ。今日の200メートル平泳ぎでも4位、3連覇どころか、メダルにも届かなかった。北島康介、3連覇を狙っていた。今、勝つためにはこれしかない、という初めから飛ばす作戦をとった。
正解だと思う。今の状態、力で勝つためにはこれしかない。しかし、敗れた。北島康介、挑んで敗れた。よくやった。
二枚看板と報じられているあと一人、内村航平は、これはダントツ、2位以下を大きく引き離して体操個人総合で優勝した。
予選や団体戦の時の演技は、一体なんだったのか、というほぼ完璧な演技。強すぎる、と言ってもいい。団体戦の時には、点数が出ず、やや不貞腐れているようにも見え、なんだろな、この男、とも思っていたが、まだ23歳の内村航平、確かに頭抜けていることには違いない。
実は、今日の私、3日前、柔道女子監督の園田隆二が言った言葉、「二枚看板ではなく、三枚看板でした」、と同じ言葉を日本中に言ってやりたかった。
金メダルが一つも取れない柔道男子、今日登場の100キロ級の穴井隆将が最後の切り札。北島康介、内村航平ばかりじゃない。二枚じゃなく、三枚看板だ。穴井隆将がいる、と言ってやりたかった。
しかし、日本柔道のエース・穴井隆将、2回戦でチェコの選手にまさかの一本負けを喫した。何と。
二枚看板じゃない、三枚看板だったんだ、と言ってやりたかったが。残念だ。