言葉や平面より立体だ、と空海。

遣唐使と共に804年、31歳の時入唐し、恵果阿闍梨の教えを受けた空海は、806年、多くの経典、法具を持って帰国する。密教の造形物を。
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東寺展。
ひと月少し前の東博正門前。この日はチャリンコが少ない。後ろに見える桜は満開。
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平成館内の垂れ幕。
東寺(教王護国寺)は、<平安京遷都に伴って、王城鎮護の官寺として西寺とともに建立されました>、とパンフにある。さらに、<弘法大師空海は、823年に、嵯峨天皇より東寺を賜り、真言密教の根本道場としました>、とも。
なおついでながら、空海とこの嵯峨天皇、そして空海と共に唐へ渡った橘逸勢の3人、「三筆」である。驚くほど上手い。
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東寺展、「御請来目録」、空海から最澄への直筆書状である「風信帖」、さらには密教法具、仏画、さまざまな曼荼羅図など、国宝、重文が目白押し。
が、今展の目玉は、仏像曼荼羅である。東寺講堂の立体曼荼羅。
空海、奥深い密教の教えを理解するには、言葉よりも平面の仏画や曼荼羅図よりも立体が相応しい、と考えたようだ。
で、東寺講堂に21体の仏像を配した曼荼羅世界を創る。密教の中心仏である大日如来を真ん中に据えて。立体曼荼羅である。
今回、その東寺講堂の21体の内国宝11体、重文4体が東博へお出ましになった。
東寺講堂の中央に据えられている大日如来像はお出ででないが、東博での立体曼荼羅の中央、センターを張るのは帝釈天騎象像である。
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その帝釈天騎象像のみ、撮影が許されていた。
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その説明。
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今一度。
「国宝東寺 空海と仏像曼荼羅展」、これだけでは寂しい。
で、今回東寺から東博へお出ましになられた仏さまを何体か『原色日本の美術 第5巻 密教寺院と貞観彫刻』(昭和42年 小学館刊)から複写する。
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東寺講堂内部。
<大日如来を中心に21体の像が一種の曼荼羅の形に配置されている。これらの像は839年(承和6)開眼法要されたとつたえられ、なかに後補のものもあるが、配置はほぼもとのままで、、いかにも密教的なふんい気をもった堂内である>、と上掲の書にある。
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降三世明王立像。
右は全身像。左はその上体。
<・・・怒張した表情と怪異な姿に、密教像の特色をしめしている>、と上掲書は記す。
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さらに、その怒りの顔貌を。
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持国天立像。
持国天、四天王のひとつである。邪鬼を踏みつけている。パワフル。
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両手に武器を持ち。
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その形相、凄まじい。
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今回、東博での立体曼荼羅のセンターを張った帝釈天騎象像を今一度。
<梵天像と一対で、・・・・・。しかしこの像には少し後世の手がはいっていて、みかけをわるくしている>、と小学館の上掲の書にはある。
いかつい顔貌の仏が多い東寺講堂の仏たちの中、イケメンで鳴らしている仏さまなんだがな、この像は。
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そのお顔。
実は、ブログへの写真の取りこみの時間を短縮するため、サイズに以前に較べより大きな圧縮を加えている。そのため、これに限らず色調がおかしくなっている。現状では、致し方ないな、と思っている。
それ故、東寺の貴公子と言われるイケメンもサイケな色調の色男に。


音声ガイドは京都出身、東寺の中の高校に通っていたという佐々木蔵之介。が、さほどのものでなし。
音声ガイドには、第256世東寺長者というお方の「ごあいさつ」があった。1200年に亘る東寺の歴史、その「長者」の第256世という数値に「なるほどなー、そうか」、という思いを持った。
時折り入る声明は良かった。座れるところではまず座り、声明を聴いていた。
なお、東寺の立体曼荼羅、6月初めまで東博に。


今日、宮中三殿の前庭で、秋の大嘗祭で使う新穀の斎田を決める秘儀・「亀卜」が行われた。
薄く削った亀の甲羅を焼いて占う。悩みなどなし、揺蕩うように。
日本は平安、平穏だ。


ついさっき、中国はトランプに対し反撃を始めた。600億ドル分の輸入関税を25パーセントに引き上げる、と。
いよいよ米中のガチンコ勝負となっていく。先ほど開いたニューヨークの市場では、ダウ平均が650ドルほど下げている。デカい下落である。
アメリカと中国、ほんとに困った国である。日本も当然のこと影響を受ける。
トランプと習近平、そろって心臓発作でも起こさないか、と世界中の普通の市民は思っているのじゃなかろうか。