パリ+リスボン街歩き  (37) ウディ・アレン。

いや、面白い。こりゃ大人のディズニー・ランドだな、と思った。

ヘソの曲がったヤツなら、鼻もちならない、スノッブでペダンチックの極みじゃないか、と言うかもしれない。しかし、あなたのヘソ、曲がりすぎてるよ、と言ってやりたい。それほどに面白い。
数日寄り道をしたが、また、「パリ+リスボン」に戻る。
何日か前、週一で通っている学校の同級生の女の子(恐らく60代であろうが、同級生故、女の子)から、「あなたの”パリ+リスボン”、なかなかリスボンが出てこないじゃないの」、と言われた。「そうだ。私は留守にしたり身体の具合が悪かったりしたら休むし、寄り道をすることもある。あと1週間か10日程度は、まだパリだな」、と応えた。
で、今日からまた「パリ+リスボン」へ戻るが、私が2か月前、見聞きしたパリのことではない。ウディ・アレンが見聞きした、いや、彼も実際には見ても聞いてもいない、ウディ・アレンが創りだしたパリの話である。
ウディ・アレンの前作は『人生万歳』、彼の地元・ニューヨークを舞台の物語。ここでも紹介した憶えがあるが、面白かった。その前の作品は、バルセロナが舞台の『それでも恋するバルセロナ』だった。ペネロペ・クルスの色香も凄かったが、今、最もセクシーな男であるハビエル・バルデムが何と言っても、という映画であった。
今回は、パリだ。

『ミッドナイト・イン・パリ』、今年度のアカデミー最優秀脚本賞を取った。今、全国の映画館で上映されている。スピルバーグやコッポラやスコセッシが絡む映画のように、大々ヒットとは言わないが、ウディ・アレンの映画としては、大ヒット。
ご自身が、スノッブであることを認識している人も、そうでない人も、双方の人にお薦めするよ、この映画。いや、そうとは思いたくない人も含めて。こんなことを言うと興ざめになるが、ほとんどの人、スノッブなんだから。
冒頭、パリの絵ハガキみたいな観光名所の写真が次々に出てくる。
セーヌ川、エッフェル塔、凱旋門、オランジュリー美術館、ロダン美術館、ヴェルサイユ、ジヴェルニー、まさに、ベタな絵ハガキ。これらの映像が次々に出てくる。平凡で、お決まりの映像。ありきたりで、型どおりの映像。ベタな映像だ。
しかし、これがいい。このベタな感じが、何とも言えない。
このポスターの中ほどに、”真夜中のパリに魔法がかかる”、と書かれている。
その魔法、かかるんだ。
明日、また。