桜狩りの道すがら(7) 芝桜。

芝桜、地を這う小さな草。
ちっぽけで地味な草であるが故に、ピンク、白、赤系濃淡変化をつけた花々を地表一面に、いわば花のカーペットとする、というのがオハコのようだが・・・

コンクリートの土留めの上から、垂れ下がっているものがあった。白花の芝桜。

ハート型のこれなど、どこかのエンブレムに見えなくもない。そうでもないか。
芝のように、地面を這って広がっていく草だが、土留め故、その先がない。垂れ下がるよりない。

これも。

芝桜の名、その花の形が桜花に似ているところからつけられた、という。
たしかに、5弁の小さな花、桜花に似てはいる。しかし、いかに、白い5弁の小さな花であれ、桜花とはまったく異なる。敷島の大和心を持ちだすまでもなく、その奥行きが違う。誰が名づけたのかは知らないが、"桜"という言葉、軽く扱われたもの、という気がする。
     芝ざくら好天あますところなし     石原舟月
この句、ピーカンの青空の下、おそらく、一面に広がる芝桜の絨毯、という情景を詠んだものだろう。私が、近場の散歩の途次に見たものとは、違う光景。
季節も移り、途中で、途切れ途切れになったこともあり、桜狩りの余聞、気が抜けてきた。