国を背負った放水と、大きな月。

日本の命運がかかった福島第一原発の抑えこみ、最優先は、3号炉の使用済み核燃料保管プールへの注水。
今日、昨日の自衛隊による放水の映像が公開された。自衛隊が撮影した現場の映像。自衛隊の放水車、現場に近づくにつれ原子炉の建屋のまわり、瓦礫が散乱している。建屋から2〜30メートルまで近づき、放水した。国を背負った放水だ。

今日会見をした防衛相・北澤俊美、「注水作業はほぼ上手くいった。思ったより安定している」、と語る。

午後2時すぎから、東京消防庁による、屈折放水塔車を使った放水が行われた。
実は、東京消防庁による3号炉への放水は、昨日から今日に変わった、午前0時すぎにも行われている。それに次ぐ放水となる。海から水を汲みあげ、それを連続して放水する。1分間に3トンの水を放水できる、という。それを7時間続け、使用済み核燃料保管プールの容量、1260トンを満たす、という。2時半すぎからは、無人で放水を続けている。
実は、7時間をすぎ、9時間をすぎた今でも、放水作業は続いている。
つい先ほど、この放水作業を敢行した東京消防庁の警防部長と、現場で指揮を執った二人の統括隊長の会見があった。現場の状況、とても厳しいものだったようだ。
放射線の恐怖の中、現場で指揮を執った統括隊長のひとりは、こう語っている。
「非常に厳しい任務であったが、国民の期待にある程度は応えられた、と思っている。ほっとしている」、と。それに続き、「隊員の士気は高い。しかし、その家族のことを思うと」、と声を詰まらせていた。彼ら、東京消防庁のハイパーレスキュー隊の男たち、国を背負った任務をやり遂げた。
大阪や横浜の消防の特殊車両も、今、福島第一原発に向かっている。総力戦だ。明日以降も総力戦は続く。
しかし、外から水をかけられるのは、あくまでも使用済み核燃料の保管プールのみ。原子炉本体の冷却には、津波によって海水に浸かった、原子炉本体の電源を復旧しなければならない。東電及び関連企業の社員により、連日徹夜の作業が続けられている。

今日、第1号炉、第2号炉への電源ケーブルが繋がった。しかし、電源が繋がったからといって、海水に浸かった機器が作動するとは限らない、という。原子炉本体を冷却できるかどうかは、ひとつひとつ確認しながら作業を進めるしかない。これも命を張った作業である。
一時、東電が、福島第一原発から50人ばかりの社員を残し、あとの社員を退避させた、という報道がなされた。だから海外では、”フクシマ50(フィフティー)”のヒーローとして、取りあげられている。
しかし、そんなことはない。今、福島第一原発にいる東電及びその関連企業の従業員、その10倍程度、500人前後いる。彼ら、日夜、懸命の作業を続けている。命を賭けた。

6時すぎ散歩に出たら、東の空に、満月に近い丸く大きな月が出ていた。
赤く輝く大きな月、太陽のようにも見える。
厳しい状況はまだまだ続くが、昨日、今日の自衛隊や東京消防庁の活動同様、少しは、明るい兆しも見えてきたか、と思わせる。