それでも、やはり、不思議だ。

習近平が、中央軍事委員会の副主席に選出された。これで、党、国家、軍、国の行方を左右する権力すべてを、手に入れた。
胡錦濤の後継者となることが、決まった。既定路線ではあるが。
共産党一党独裁の中国でも、当然のことながら、また、そうであるから猶の事、党内での権力闘争はある。
胡錦濤は、訒小平の流れをくむそうだが、習近平は、党の幹部子弟を指す「太子党」であり、対日強硬路線の江沢民の流れをくむそうだ。私の区分けで言えば、胡錦濤より、原理主義的要素がより強い男、ということになる。2年後、2012年、胡錦濤が引退し、習近平体制となった後は、反日の度合い、より強まるかもしれない。
北京でこのような重要会議(中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議)が開かれているのと、時を同じくして、内陸部の都市では、反日デモが続いている。西安、成都、重慶、武漢、その他の都市で。
ネットを通じて集まった学生が中心となって、尖閣諸島がらみの、反日を叫んでいる。それもあろう。しかし、その根底には、富の格差の問題がある。いつの時代、どこの国でも、若者たちの行動、弱者の思いを代弁するものだ。
沿岸部と内陸部、その貧富の格差、広がるばかりの状況。それに対する不満があるに違いない。国に対する不満が。だが、国への不満は抑えられている。それが、反日に出る。
国は、困っている。若者たちの気持ちは解かるが、それでも過激な行動、秩序を乱す者は云々、なんてことを言っている。整合性がとれない。とりようがない。今の体制では。
どこかで、ガラガラポン、ということをやらなければ。どこかで、一党独裁体制を打ち切る、という指導者が出てこない限り。何日か前に書いたが、それこそ、訒小平的な男が。そうでなければ、劉曉波のような人も、いつまでも獄につないでおかなければならなくなる。
習近平体制、10年は続くだろう。しかし、変わらない。ドラスティックな変化は起こらないだろう。政治の面においても、経済の面においても。問題を、先送りすることだけじゃないかな。まあ、国の富は、増えるであろう。これは、確実に。だがしかし、貧富の格差は、ますます開き、国民の不満も鬱積するだろう。その折々、国民の不満は、爆発するに違いない。
今、上海で、高級車だけの展示会が開かれている、という。アメリカに次ぐ車の市場は中国だが、高級車の市場でも、中国はアメリカに次いで2位だそうだ。1台2000万円以上するランボルギーニが、毎年50%の伸びで売れている、という。これ、やはり、どこか、おかしいのじゃないか。
今日のタイトル、「それでも、やはり、不思議だ」、としたが、本当は、変えなきゃいけないな。
”不思議だ”、ではなくて、”おかしい”、に。