不思議色の共産主義。

1週間に亘り開かれてきた中国共産党の第18回党大会、今日、新たな政治局常務委員を選出し終わった。
13億人のトップ・中国共産党総書記の座は、胡錦涛から習近平へ移った。
G5やG7の時代は、いつ頃までだったか。実質はG20、と言われてからも何年にもなる。近年はG2だ、と言われてきた。米中2強の時代だ。中には、G0(ジー・ゼロ)と言う人もいる。求心力がない状況、これはヤバイ想定だ。
21世紀は中国の時代だ、という論調の書物、多くある。あるどころじゃない。逆に、中国は破綻する、崩壊する、という論調の書籍も多くある。あるどころじゃない。ウジャウジャある。
相矛盾するようであるが、いずれも、そうである。私は、そう考える。
半月ばかり前、OECD(経済協力開発機構)から、こういうデータが発表された。2030年と2060年の世界のGDPの、主要国別シェアのデータである。
それによると、2030年の主要国のGDPは、中国は全世界の28%であり、18%のアメリカを逆転している。因みに、日本は4%。比率は落としているが、まだ踏み止まっている、と言ってもいい。
2060年はどうか。こうである。全世界ということで、日米中以外も記しておこう。
中国28%、インド18%、アメリカ16%、EU外のOECD諸国14%、EU9%、日本3%、その他の国12%、である。日本のGDPは、中国の9分の1となる。仕方ないのであろう。
2030年と比べ、トップの中国の全世界に占める比率は変わらないが、アメリカ、EU、日本などが少しずつ比率を落とし、その分をインドが伸ばし、中国に次ぐ世界第2位となっている。OECDの予測データであるから、信憑性は高いであろう。ま、こうなるのであろう。
中国が経済大国になること、それはいい。歴史の必然であろう。経済で測る国力、人口に比例する、というのが妥当な考えであろうから。
しかし、日本は中国との間に、尖閣諸島の問題を抱えている。日本の建前は、尖閣には領土問題はない、という立場をとる。突っぱねるしかない。今は。しかし、
<胡錦涛政権は「2010年海洋発展報告」で、「海洋強国の建設は21世紀の偉大な歴史的任務」と位置づけ、20年までに管轄海域の拡大と地球規模の海洋権益保護を目指す方針を打ち出している>(読売新聞中国取材団著『メガチャイナ 翻弄される世界、内なる矛盾』、中公新書、2011年刊)。
厄介だ。多くの矛盾を抱えた国がやることなので、合理的な思考、整合性なんてことは、時として置いていかれる。そればかりじゃない。共産党一党支配の国、多くの矛盾、おかしなことが多くある。
今日、中国共産党の総書記に就任した習近平、こういうことを言っていた。
「党内には、解決すべき多くの問題が存在している。特に蔓延する汚職に危機感を抱いている」、と。13億人のトップがこういうことを言わねばならないほど、中国の内部矛盾は根深いんだ。
ハッキリ言って、今の中国が共産主義の国と言っていることがおかしい。
どこが共産主義なんだ。修正共産主義(修正主義という言葉はある。でも、修正共産主義という言葉はない。私が作った)である。ハイパー資本主義でもある。
貧富の格差、涙が出るほど大きい。
中国という国、経済的には、また、軍事的には大国となる。しかし、その内部にさまざまな矛盾を抱えた大国となるんだ。困ったものである。
実は、一番困ったことは、中国という国、どうも自浄作用のない国のようなのだ。このこと、習近平体制になっても変わらない模様。
少し前に上梓された本にこういう書がある。
そのタイトル、少し長いが、こういうもの。
呉国光著、廖建龍訳『次の中国はなりふり構わない 「趙紫陽の政治改革案」起草者の証言』(平成24年、産経新聞出版刊)。
著者の呉国光、天安門事件で失脚した趙紫陽のブレーンである。その後、アメリカへ留学し、今はカナダの大学で教鞭をとっている。
この書の解説、櫻井よしこが書いている。
櫻井よしこ、ライトウィングの論客である。櫻井よしこ、今の中国がいかなるものであるか、いかに危ういものであるか、記している。
そのすべてに同意できるものじゃない。しかし、矛盾に満ちた中国の本質を突いている。
中国という国、とてもおかしい。
それより、この書の著者・呉国光、「中国はいよいよ傲岸不遜になる」、と言う。
この書には、「習近平らには改革の志なし」、ともある。
共産党幹部の親族が、何百億、何千億の蓄財をして、ということが取りざたされる昨今の情勢、どこやらおかしい。それが共産主義国家であるなんて、チャンチャラおかしい。
いっそ、瓦解することはできないのか、と考える。