組織の判断。

どのような組織であれ、判断をする、決断を下す、ということは難しいことである。常に、さまざまな判断を求められる。攻めている時の判断よりも、負の判断の方が、より難しい。悩みに悩む。
企業の場合、新規プロジェクトを立ち上げるとか、新規事業に参入するとか、といった場合の判断は、さほど悩まない。もちろん、その企業体に比し、大きな投資額である場合には、さまざま悩む。しかし、そう気が重いことはない。
事前のシミュレートの中に、上手くいかなかった場合はどうする、ということが含まれているからである。3年で黒字に転化しなかった場合は、どうするとか、累積赤字が幾らになったら、撤退するとか、といったことが、事前に決めることができるからである。思惑外れの場合、企業は痛手を被るが、それによって企業が潰れる、ということは、まあない。
しかし、商品にしろ人にしろ、何か予期しない問題が発生した時の判断は難しい。20年ほど前までは、企業のステークホルダーは、株主、従業員、顧客、それに、せいぜい取引先程度であったが、今は違う。地域社会からNPOまで、あらゆるものがステークホルダーだ。何より、CSR(企業の社会的責任)が求められる。場合によっては、企業は潰れる。
しかし、そのような場合でも、企業防衛はしなければならない。どうするか。何か上手い方策はないか。さまざまなケースを考える。こういう場合の判断、決断は、とても難しい。
一般の私企業に於いてもそうである。国家の機関となれば、より難しかろう。組織防衛の為には。
昨夜、大阪地検の前部長と前副部長が逮捕された。例の厚労省元局長の冤罪事件で、フロッピーディスクを改竄したとして逮捕された検事の上司。改竄の事実を知りながら、意図的なものじゃない、との上申書を出させた、犯人隠避罪に当たるそうだ。
前部長と前副部長は、そんなことは言ってない、と全否定している。検察のエリートが、検察と全面対決をする、と言っている。どうなるかは、解からない。
識者と言われる人は、こう言っている。検察の信頼を回復するには、10年かかるとか、人によっては、半世紀はかかるとか、と。
真実は、まだ解からない。しかし、こういうことだけは言える。
最初にフロッピーディスクを改竄した検事は、事件を作るため、ステップアップのために、そう判断したのであろう。その上司の二人は、組織防衛のために、大阪地検特捜部を守るために、判断したのであろう。そして、最高検の幹部は、日本の検察制度、特に、特捜部という形を守るために、二人の逮捕、という判断を下したのであろう、ということだけは。
地検特捜部、東京、大阪、名古屋にしかないそうだ。所属する検事は、東京が35人、大阪が11人、名古屋が7人だそうだ。何だか微妙な比率だな。北九州や札幌、その他の地方都市が、オレんところも地域では大都市なんだから、5人程度とか、せめて2〜3人とか、と言わないのかな。
仕事からは引退し、メシを食おうかとか、散歩に行こうかとか、といった判断しかしなくなった私、国家の重大事に、こんな碌でもないことを考える。