鯉と桜。

今週初め、多摩森林科学園の桜を見たあと寄った料理屋の庭内には、小さな川が流れており、池もあった。
池には、丸々とした緋鯉や真鯉がゆったりと泳いでおり、池の面には、散った桜花が浮かんでいた。
やや盛りを過ぎた近場の桜木から散った花びらが、水の面に浮かんでいる。
鯉は、雑食だと言われるが、桜の花びらを食っているようには見えなかった。

赤いのや、黒いのが、時折りバシャバシャっと跳ねるので、池の面に映りこんでいる周りの木々、踊るように揺らいでいる。
墨流しのように。

また、バシャっと跳ねたヤツがいる。いびつな波紋が、水面に広がる。

この赤いヤツだったかもしれない。目の前を、悠然と横切っていった。
水面に浮かぶ、桜の花びらも揺れていた。