ナショナリストになるな。

今日の見所は、何といっても、スノボのハーフパイプ。
決勝に残ったのは、アメリカ 4人、フィンランド 3人、日本 2人、スイス、カナダ、フランスが1人ずつ、計12人。もちろん、腰パンの国母和宏は、残っている。
別格のスーパースターである、ショーン・ホワイトを擁するアメリカは、メダルの独占を狙っている。だが、ホワイトを除く他の11人にも、メダルの可能性はある。特に、国母には、そのチャンス、十分にある。ショーン・ホワイトは、1回目でいきなり、46.8という高得点を出した。さすがだ。
国母和宏の1回目、途中まで、なかなか良かった。が、ラストヒットの大技、ダブルコークの着地に失敗した。バランスを崩し、前のめりに倒れた。思わず、「ああぁ」、と声をあげた。腰パンの悪ガキの、態度が悪いの、と言ってきたが、思わず声が出てしまった。おそらく、国母が、滑りだした途端に、無意識の内に、国母いけー、国母やれー、というモードに、切り替わってしまったんだな。私の心の中のモードが。
オリンピックが始まると、誰しもが、ナショナリストになる。国母に対し、どうのこうのと思っていた私も、いざ競技が始まると、いけー、やれー、と思い、心の深層では、メダルを取れー、という感情が蠢いていたんだ。今日は、こういう人、多かったんじゃないかな。自然だよ。
国母は、2回目もダブルコーク(ダブルコークなんて言葉、国母がいなければ、これほど知られるようには、ならなかったろう)の着地に失敗、メダルには届かなかった。残念だ。
試合後、1回目の着地に失敗した時に傷つけたのであろう、上唇と顎に血糊が付いた顔で、インタビューに答えていた国母の顔、何となく可愛く見えた。人間の感情の揺れなど、他愛ないものだな、と思う。
それにしても、ショーン・ホワイトは、強かった。優勝を決めた後の2回目、他の選手が次々と失敗したダブルコークを2度決めた後、ホワイトにしかできないという、ダブルマックツイストを決め、48.4という得点を叩きだした。満点が、50点だというから、いかに別格に強いかが解かる。年収、800万ドルも、宣なるかな、だな。
2位には、やはりアメリカのスコット・ラゴが入り、3位には、スイスの選手が入ったので、アメリカのメダル独占は成らなかったが、アメリカは、やはり強い。今日の決勝種目中、3種目で、金の他、銀か銅、つまり、2人がメダルを取っている。
で、今日は、New York Times の電子版を見てみた。
昨日の朝鮮日報は、韓国のクウォリティーペーパーだが、ニューヨーク・タイムズは、アメリカの、というよりは、世界のクウォリティーペーパー。さすが、朝鮮日報のような、国民を気持ちよくさせる”お話”は、載っていなかったが、ナショナリズムということでは、アメリカも負けてはいない。
そこで、今日、金を取った、アメリカのスーパースターたちの写真を、ニューヨーク・タイムズから転載してみよう。

ぶっちぎりの金メダリスト・ショーン・ホワイト。
アメリカのスノボのユニフォームは、ストーン・ウォシュされたジーンズのように見える。もちろん、ダブダブの腰穿きだ。

ショーン・ホワイト、トリノに続いての2連覇。
日常は、高額賞金のXゲームで、荒稼ぎをしているショーン・ホワイトも、賞金の出ないオリンピックでの勝利は、また別種のものがあるのであろう。星条旗をまとい、喜びを露わにする。

スピードスケート男子1000メートルの勝者、シャニー・デービス。
前回のトリノで、冬季五輪で黒人初の金メダリストとなったデービスも、2連覇を遂げた。3位にも、アメリカ選手が入った。アメリカ、強し。
だが、2位には、何と、というか、やはり、というか、一昨日、500メートルで金を取った、韓国のモ・テブムが入った。ウーン、凄い、というしかない。

スキーの女子ダウンヒルを制した、リンゼイ・ボンの雄姿。
彼女は、2週間前の練習中に転倒、負傷し、1週間前までは、スキーを履くこともできなかった、という。今日の出場も、危ぶまれていたようだが、出れば、勝った。力もあるが、図太いな、アメリカ娘は。

2位にも、アメリカの弾丸娘が入り、アメリカのワンツー・フィニッシュ。
また、星条旗かよ、という状況が続く。
それにしても、日本のカー娘、今日は、世界ランク1位のカナダに惜敗したが、昨日は、アメリカに勝ったものな。
何でも一番を目指すアメリカも、カーリングまでには手が回らないのであろう。だが、それでも、日本のカー娘たち、アメリカを下したとは、よくやった。でかした。気持ちいい。嬉しい。痛快だ。