主従、出羽へ。

曇り。
320年前のこの日は小雨。(曾良『旅日記』) 芭蕉と曾良の主従二人は、岩手山を立ち、出羽へ向け尿前の関を抜け、歩き、堺田に到る。
     蚤虱馬の尿する枕もと     の句は、この日ここでのもの。
この第二句の「馬の尿する」は、私の副読本(山本健吉本)によれば、はじめの形は「馬の尿こく」であり、「ばりこく」 と詠んでいたが、それを「しとする」 と言いやわらげた、とのこと。尿前の「しと」、という音も考慮したのでは、とも。
また、教科書(岩波文庫本)も、「しとする」 と読ませているが、参考書(嵐山光三郎本)は、「ばりする」 とルビがふられている。今まで、私も、「ばりする」 と思っていたが。