冬時間のパリ。

同じ男と女が、17年もの間中国大陸のあっちからこっちへと、離れたりくっついたりしているなんて、「お前たちなにやってんだ」ってことになるだろう、パリの男と女には。
切なく流離う恋もそれはそれで得も言えずであるが、パリの男と女の恋は軽やかだ。
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<パリの出版業界を舞台に、本、人生、愛をテーマに描く、迷える大人たちのラブストーリー>、と惹句にある。
が、本が売れるかどうか、出版の行く末には迷っているが、こと愛に関しては、パリの彼ら、彼女らはまったく迷ってなんかいない。
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『冬時間のパリ』、監督:オリヴィエ・アサイヤス。
<人生は 一冊の本に 似ている>、か。
冬のパリ。時の流れとともに変わりゆく、二組の夫婦の愛の行方なんであるが、もちろん夫婦の愛ではない。パリなんだからそれと共にある愛である。日本語で言えば不倫の愛。
洒落たというか、軽やかな会話が飛び交う。
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登場人物、このような間柄。
小説家であるレオナールの妻である政治家秘書のヴァレリーだけが、不倫関係の愛人がいない。が、どうもこれにはウラがあるようだ。
フランス人は政治好きでもある。政治家秘書のヴァレリーは、男よりも政治の方が面白いらしい、と思われる。
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敏腕編集者であるアラン、電子書籍の時代にどう対処しようか、と考える。順応しないといけない、と。
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アランの友人であり、ビジネスでの関係もあるレオナールは、自らの不倫体験をテーマにした私小説を書いているが、アランからは彼の作風はもう古臭いな、と思われている。
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アラン(ギョーム・カネ)とセレナの夫婦。
セレナに扮するのはジュリエット・ビノシュ。
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セレナと6年越しの不倫相手であるレオナール(ヴァンサン・マケーニュ)。
セレナはレオナールに対し、あまり私のことをあからさまに書かないでよ、と迫る。「あれじゃ私だって分かっちゃうじゃないの」、と。
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レオナール、女房のヴァレリーに「オレ不倫してるんだよ」と言うが、女房のヴァレリーは「そんなこと分かってるわよ。あなたの小説を読めば」、と応えている。
驚くことではない。軽やかである。パリだから。
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アランの不倫相手であるロールには、アラン以外にも愛人がいる。フットワークが軽いというか何というか。
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冬時間のパリの街中を歩くアランとレオナール。
パリだ。
「互いの関係に新たな意義を見出し、受け入れ合う夫婦を語りたいと思った」、とオリヴィエ・アサイヤスは語っている。
確かに皆さん、受け入れ合っている。


自民党の各派閥、菅義偉に傾れを打っている。
菅義偉のしたたかさに岸田文雄や石破茂は完敗したも同然。岸田文雄や石破茂に憐れみを覚えるほどに。