ジュディ 虹の彼方に。

若くしてスターダムを駆けあがったジュディ・ガーランド、何故に、壮絶な人生を送らねばならなかったのか。いや、何故に壮絶な人生を送ったのか。
薬物の過剰摂取が原因で、何故に旅先ロンドンのホテルで、最期を迎えねばならなかったのか。47歳の若さで。
時代は異なるが、昨日のホイットニー・ヒューストンは48歳で、ジュディ・ガーランドは47歳で、いずれも薬物の過剰摂取が原因である旅先でのホテル浴室で死を迎えた。
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ジュディ・ガーランド、『オズの魔法使』の主人公・ドロシーで一躍トップスターとなる。ハリウッド黄金期の1939年のこと。ジュディ・ガーランド、17歳。
スターとなったジュディ・ガーランド、体型を保つため、会社からやせる薬を飲まされる。当時は合法であったアンフェタミン、覚醒剤である。薬物、後々までジュディを悩ませる。
薬物、ジュディに一生付きまとう。
そのジュディ・ガーランドに扮するのはレネー・ゼルウィガー。ジュディ・ガーランドの魂に乗り移った迫真の演技。本年度のアカデミー主演女優賞はじめ、軒並み主演女優賞を総なめにした。
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『ジュディ 虹の彼方に』、監督:ルパート・グールド。イギリスとアメリカの合作。
原作は、ロンドン・ウエストエンドとN.Y.ブロードウェーで当たりを取ったピーター・キルターの『End Of The Rainbow』。
『オズの魔法使』、私たちの世代は子供のころ見た思いがある。だから、その主題歌である「オーバー・ザ・レインボー」は、誰でもが知っている。しかし、それを歌ったジュディ・ガーランドの生涯が、これほど波乱に満ちたものだったものだったとは。
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1969年生まれのレネー・ゼルウィガー、この作品を撮影時には48、9歳。47歳で死んだジュディ・ガーランドとほぼ同じ年代。レネー・ゼルウィガーの身体に、ジュディ・ガーランドが入りこんだ怪演。演技ばかりでなく歌唱も。
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<才能に生かされ、才能に苦しみ、・・・・・伝説のミュージカル女優>。
ジュディ、あり余る才能で、歌手としても女優としても大成功する。莫大な金を稼ぐ。生涯に5度結婚する。子供も3人いる。
そのひとりが、ライザ・ミネリ。あの『キャバレー』で圧倒的な歌唱力を見せつけたライザ・ミネリ。母親ゆずりに違いない。が、親子の間は複雑だ。
ジュディは、わがままで、撮影の約束などもすっぽかすことが多くある。会社との折り合いも悪くなる。しだいに仕事のオファーも来なくなる。
さらに、金づかいも荒い。相当稼いだのに、すっからかんになってしまう。破産する。家もなくなってしまう。
しかし、それでも平気、そんなことは意に介さないのが、常人と大いに異なるところ。
非凡な人の一典型である。
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そうではあるのだが、実情は薬物のなせること。精神が不安定になっている。その生涯で自殺未遂も何度も繰り返している。薬物に加え酒の問題もある。
しかし、ステージへの夢は諦めない。
アメリカを離れロンドンへ行く。倒れる。が、倒れても倒れても。
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壮絶なステージ。
ジュディ・ガーランドの魂が乗り移ったレネー・ゼルウィガー、背骨や肩甲骨が浮き出ている。薬と酒だ。
ヨレヨレ、ボロボロのジュディ・レネー・ゼルウィガー、「オーバー・ザ・レインボー」を圧倒的な迫力で歌いあげる。
胸に、心に、突き刺さる。


なお、知らなかったが、LGBTのレインボー・フラッグは、ジュディ・ガーランドの「オーバー・ザ・レインボー」からきている、という。
ジュディ・ガーランド、当時としては珍しくLGBT・性的マイノリチーの人たちに対して理解していたそうだ。


クリストが死んだ。84歳。
相棒であったカミさんのジャンヌ=クロードは10年ほど前に死んでいる。ふたりであちこちの物を包んでいた。
クリストと聞けば、吉田佑子さんを思いだす。
5、6年前の都美術館、大きな自作、立体作品をスケッチしていた。「クリストみたいですね」、と言ったら、「クリストのスケッチは売れますが、私はそうはいきません」、と返ってきた。
吉田佑子さん、クリストと似たようなお年であろうが、お元気かな。