多摩美散歩(3) 夢を着たら、見えてきた!

多摩美八王子キャンパス22号館アートテーク、ポガティブ展の向かいの部屋では「夢を着たら、見えてきた!」という催しが行われていた。

ポガティブ展関連企画とある。
夢を着るんだ。と、見えてくるんだ。何が。何かが。
「あそびじゅつ」ともある。

入る。
Tシャツがいっぱいぶら下がっている。ズボンやスカートも。

こういうものらしい。
この夏、多摩美では子供たちを集めて「あそびじゅつ」の講座を開いたんだ。子供たちに「夢」を描かせたんだ。Tシャツやズボンやスカートに。そうすると、見えてきたんだ。何かが。今までとは異なる世界が。で、美術の力って、ということらしい。

ずいぶん描きこんでる子もいるな。

さまざまな夢模様、夢世界。

その夢を着て遊んでいる子供たちの映像が流れる。

自ら描いたTシャツを着た子供たち。
みな夢を着てるんだ。そして、みな、何かが見えてきたんだ。

走りまわる子供を見ているのは楽しい。
平穏、平和を感じる。


今日未明、スウェーデン・ストックホルムではノーベル文学賞の授賞式があり、ノルウェー・オスロではノーベル平和賞の授賞式があった。
このところ何度か、ここ暫らくの世の分断化、排他的な傾向に異を唱えてきた文学賞受賞のカズオ・イシグロ、平和賞が核兵器廃絶国際キャンペーン・ICANに贈られたことをとても嬉しい、と語っている。自らの授賞スピーチの中でも、原爆が投下された長崎で生まれたことを織りこんで。
どこであったか、カズオ・イシグロ、こういうことも言っていた。
第二次世界大戦後、日本は民主主義国として成功した。が、過去の歴史に向きあうことに距離をおいているのでは。ヨーロッパの国がそうしたようにはしていない、と。
言葉を選び、とても抑えた表現であったが、日本の歴史観、世界観に婉曲なアドバイスを述べていた。
核禁条約にも加わらない。日本の立場は徐々に狭まっている。日本の立ち位置は難しい。
が、それでもなおかつカズオ・イシグロ、日本に対しある種のはがゆい思いを持っているのでは。日本人ではないが、日本生まれであるのだから。