松浦延年展。
地下鉄茅場町で降りる。すぐ近くは日本橋、そして兜町である。日本のウォール街である。すぐそこに東京証券取引所があり、証券会社や銀行が軒を並べる。
が、表通りから小さな道を横に入ると・・・
古き良き昭和の面影。
SPC GALLERYはそこにある。
松浦延年展。
階段を上がるとすぐ入口。
入口のドアは開いている。四角い作品が見える。
正面の壁面には、大きさも色も異なる作品が並ぶ。絶妙なバランス。
右の壁面へ。
次の壁面へ。
さらに。
これで四角いギャラリー内、ほぼひと回りしたことになる。
正面の壁面に戻る。
松浦延年の作品を見るのは3度目である。一昨年、静岡の樂土の森現代美術展、そして昨秋の多摩美でのポガティブ展。初めて樂土の森で見た時には驚いた。油絵だってことに。タイルかなって思っていたので。キャンバスに油彩と聞いて得心がいった。そうなのかって。
今回の出展作にはタイトルの表示も説明書きも何もなかった。私の見落としかなと思ったが、どうもそうではないようだ。多摩美の時には、素材と顔料は、「キャンバスに油彩、合成樹脂」と記されていた。今回もおそらく同じであると思われる。
黄色っぽい作品も、赤っぽい作品も、白っぽい作品も、深い緑っぽい作品も、もちろん単純なその色ではない。深く深く潜っていって掘りだした色彩に思える。
ヤワな色ではない。硬質な色調だ。
黄色っぽいものや赤っぽいものも。
矩形、四角、正方形って普通も普通、ごく当たり前の形に思えるのだが、こうしてみるととんでもないってことがよく解かる。
松浦延年の矩形、四角、正方形、不思議だもの。
この小さな赤っぽい矩形、四角、正方形は、哲学しているもの。
この白っぽい作品だけは、他の作品とは異なる。
マチィエールが異なる。
凹凸がある。
こちら。
キャンバスに油彩であるが、錆びが浮き出たような技。
油絵具に合成樹脂、おそらくそれが相俟って、鏡のように反射する硬質なマティエールを造る。相対するものが映りこむ。
正面にまわると。
この壁面。
ソリッド・シェイプ、硬質の美。
キャンバスなんだ。
ギャラリーとスタッフルームの境にこれがあった。楕円形の作品。
この日、作家の松浦延年はいなかった。ギャラリーの人も初めの内はいなかった。で、不用心だなと思いつつ遠慮しながら撮った。
楕円形、巨大なルビーのようにも見える。半球体に見える。
が、おそらく平面であろう。松浦マジックである。
ギャラリーを出る時、開けられたドアに気がついた。
そのドア。作品そのものと言っておかしくない。
モノトーンの戦の思い。
暫らく留守にします。
ブログも休みます。