やまとめぐり(14) 室生寺(続き)。

室生寺は、室生山の山麓に建てられた。
山の斜面を三か所少しずつ切り拓き、小さな平面を三か所造成した。
ひとつ目は、鎧坂を上がった所、金堂や弥勒堂のある所。二つ目は、そこから上がった灌頂堂(本堂)がある所。そして三つめは、そこから上がった五重塔のある所である。
それが石段で結ばれる。

灌頂堂(本堂)の脇、石段の上に室生寺の五重塔が現れる。
室生寺の五重塔、高さわずか16メートル少し。とても優美。

室生寺五重塔、1998年9月の台風で倒れた大きな杉の木につぶされた。が、すぐに再現された。
新しく造られた五重塔とは初対面である。実は少し心配していた。あのしっとりとした丹色が再現されているであろうか、と。

杞憂であった。
もちろん、1200年の年月が創りだしたあの色調と20年も経っていない今の色調では、異なりがあるのは当然である。しかし、五重塔のその丹色、しっとりとし、周りの木々と溶けあっている。

美しい。

ここから先へ行けば奥の院。
ところで、何ごとにも几帳面というかなんというか、物事を正確に考えないと気が済まない、という人がいる。そのような人であろう、山寺である室生寺の石段の数を数えた人がいる。ご苦労なことであるが、私のような雑な人間にはありがたい。
その人が数えたところでは、室生寺の石段、下から五重塔の所まででは合計183段だそうだ。そして、五重塔から奥の院まではさらに514段あるそうだ。しかも後半は厳しい、と。
奥の院へ行きたいのはやまやまであるが、もちろん行かなかった。

私は、ここから戻る。

時折り細かい雨も降ってきた。敷石が光っている。

すぐ下に灌頂堂(本堂)の屋根が見える。

すぐ近くに修円僧都の廟がある。
修円、室生寺の伽藍整備の功労者だそうだ。

灌頂堂の近くに、広い壇上積基壇と思われるものがある。
左右に小さな塔を持つ石造五輪塔が見える。

灌頂堂(本堂)の前を通る。

苔むした池がある。
金魚が泳いでいる。
淀んだような水面に周りの木々の影が落ちる。

金堂が見えてくる。

弥勒堂も。

懸造りの金堂には多くの人が。

鎧坂を下り、来た時と逆方向へ。

太鼓橋を渡ったすぐ前の中村屋で少し遅い昼飯。広い座敷には座卓が多く並んでいるが、私以外客はいない。
山菜定食を頼む。お膳右上の大和芋のとろろが名物なんだ、という。「とろろの粘りが凄いでしょう」、と亭主は言う。たしかに、大和芋のとろろ、そのネバリは凄かった。


ところで、「土門拳写し」ということをしようかな、とさきほど思った。「写し」と言ったって、真似ごと、戯れごとであるが。2、3点。



リアリズムの鬼・土門拳、長時間露出でモノクロの美を追い求めた。
私は、単に色を取り去ったにすぎないが。


アメリカ共和党の党大会が始まった。
トランプのカミさんの演説、オバマ夫人の演説のパクリだという。その程度のことは、ああそうかで見過ごしてもいいが、現実化するトランプ大統領実現の動き、アメリカ国民ホントにいいのかよ。


WADA、ロシアの国家ぐるみのドーピング隠しを認定した。
プーチンは反発している。
が、場合によっては、リオにロシア選手の姿が全くない、ということもあり得るな。