吉備の国アート巡り(1) 青のモノクローム。

3月末のこと、夜、倉敷に着いた。
駅前のホテルに入り、暫らくの間ベッドにひっくり返っていた。その後、夕飯を食うため外へ出る。
駅前からの倉敷中央通りを歩く。歩いている人は少ない。と、右手に明かりが見える。扉は閉まっている。人の気配はない。
しかし、部屋の中には明かりが点いている。

ギャラリーのようである。

ウインドウに絵がかかっている。

その下の方には、このようなことが記されている。
イスタンブールの光景だ。画家の名は、岡本直樹。
初めて知った名である。調べてみると、倉敷に岡本直樹という絵描きがいる。倉敷生まれで、長くヨーロッパに滞在していたそうである。倉敷の鳥瞰図で著名な画家ということであるが、おそらくその岡本直樹さんであろう。

イスタンブール旧市街、金角湾の北側ガラタ塔から眺めたシュレイマニエ・ジャーミーである。ミナレットが高く伸びる。
もうずいぶん前になるが、私もガラタ塔の上からこの光景を見ている。

部屋の中、電気は点いているのだが、人の気配はない。
実は、上掲の岡本直樹作品の説明書き以外、まったく文字の類がない。
ギャラリーだとは思われるが、その名称もない。

部屋の中、モノクロームの絵が多く見られる。その多くは青のモノクローム。

青、ブルー、イヴ・クラインのブルーを思う。
しかし、倉敷の人けのないギャラリーと思われる部屋にイヴ・クラインの作品がこれでもか、と並んでいるとは考え難い。

しかし、ギャラリーとは思われるが、その名も分からない部屋、不思議な空間であった。
その翌日、この前を2度通った。シャッターが下りていた。午前中も夕刻も。中は窺えなかった。
青のモノクローム、倉敷初日、不思議なものを見た。


倉敷に2泊、瀬戸内の直島に1泊、岡山に1泊、都合4泊5日、アートな光景に身を置いてきた。
吉備の国アート巡り、暫らくその模様を記します。