パリ+リスボン街歩き (57) 国立古美術館(続き)。

「国立美術館」は何の不思議もない。どこの国にもある。しかし、リスボンのそれは、”国立”と”美術館”の間に、”古”という言葉が入っている。このような表記、他には知らない。
ムセウ・ナシオナルの後に、デ・アルテ・アンチガとなっている。”国立の古い美術館”ではないんだ。”国立の古美術館”ということなんだな、きっと。ここには、ポルトガル王国が築かれた12世紀から19世紀までの美術品、つまり、古美術品が展示されている。

どの国であれ、ヨーロッパの国にとって東洋の陶磁器は憧れの的。
どの美術館や博物館も、東洋陶磁のコレクションを欠くことはできない。いや、その前提となっている、王宮のコレクションとして不可欠。その極端な例が、ヨーロッパではないが、イスタンブールのトプカピ宮殿の東洋陶磁コレクション。その玉石混淆の膨大なコレクションを見ると、その熱意、尋常でないな、と思われる。

ポルトガルの歴代王宮も、青華をはじめ多くの東洋陶磁を集めたものと見える。

展示室の格子の入った窓から外を見ると、テージョ川が見える。格子、鉄製ではあるが、曲線を描き、”らしい”感がある。

館内の下の方を見ると、幼稚園か小学1年生かと思われる子供たちの一団がいた。先生と思われる人も5〜6人。

歩いていると、このようなコーナーがあった。先の方に見えるのは弥勒菩薩のようだ。

説明書きには、日本かコリアの半跏思惟像、ブロンズ製、とあった。
感じとして、日本のものではない。おそらく、韓国の半跏思惟像であろう。

大航海時代、ポルトガルの華の時代。両側の二人、誰であったか分からぬが。

ヨーロッパの世界、そのキーワードの根底にあるのはキリスト教だ。

これ、面白い。造形として。
単なる磔刑図ではない。
磔刑の場に、さらにイエスが付加されている。

小学校5〜6年生か中学1〜2年生か、課外学習に来ている生徒がいた。

これは、中国のマカオで描かれた屏風。ポルトガルの最初の王朝の王様を描いたものだという。制作年は1708年だそうだ。これは、マカオの屏風なんだ。
日本の屏風、いわゆる南蛮屏風もあった。南蛮屏風については明日にする。