神の笑み。

カダフィ包囲網、日々狭まる。
オバマは、カダフィ一族と政府高官の資産凍結を命じる、大統領令にサインした。EUも、武器禁輸、資産凍結、渡航禁止などの制裁を科すことで合意した。国連安保理は、「人道に対する罪」で、リビアへの制裁決議案を協議している。中国とロシアの意向で、その文言、いくらかは薄められるであろうが、おそらく明日には採択される。
だがカダフィ、トリポリはまだ固めている。未だ忠誠を誓う治安部隊と傭兵によって。昨日の金曜礼拝後の市民に対しても、無差別銃撃を加えている。
それより、カダフィ、昨日の夜(日本時間、今日未明)には、カダフィ支持派を動員し、緑の広場で演説をした。

BBCで知ったが、カダフィの家は、トリポリの南にあるらしい。緑の広場は、トリポリ市街の北、海岸よりにある。その間、5キロばかりある。いかに親衛隊に護られているとはいえ、トリポリ市内の移動は、まだ可能であるらしい。
YouTubeに、SaveLibyaという投稿者がいる。
今月17日にチャンネル登録をし、その後、リビアでの闘いの模様を、リビア国内から発信している。短いものでは、20秒足らずの生々しい映像を。個人かもしれないが、どうも何人かのグループじゃないか、とも思われる。
今日の昼ごろ、SaveLibyaから、「リビアでの非人道的な大虐殺」、という映像が投稿された。おそらく、重火器でやられたのであろう、血にまみれた肉塊だらけのものや、身体のあちこち撃ち抜かれた死体が、いくつも映されている。治安部隊やカダフィの傭兵たちに殺された、反体制派の人たちの姿が、1分46秒の映像にある。
先ほど、確認のため見ようとしたら、出てこない。「この動画またはグループは、YouTubeのユーザーコミュニティーから不適切な動画として報告されており、一部のユーザーに適切でないコンテンツを含む・・・・・」、という言葉が記されている。メールアドレスやユーザー名、国籍、生年月日などのアカウントを入力すれば、見ることはできるのだが。
その映像、あまりにも凄惨なものなので、止めたのであろう。
そのSaveLibyaが映した映像、こういうものであった。
昨日、カダフィの兵により、残虐な殺されかたをした多くの死体が出てくる映像にかぶり、二人の男が話している。話している言葉はアラビア語だが、英語の字幕がついている。
ところどころ拾うと、こういうものだった。
「我々はすべて、神から生まれた。そしていつかは、神のもとに帰っていく」、から始まる。
「私は、このような光景を見たことはない」。
「神以外、このような力強いものはあろうか」。
「これはまさに、カダフィがしたことなのだ」。
「彼は、独裁者だ」。
「独裁者? 彼は、シオニストより酷いじゃないか。気分が悪くなる」。
「カダフィが何をしたのか、見なければいけない」。
「これを見ろ。腕が、もげている」。
「彼の顔を見ろ。笑っているよ。お前には、そう見えないか」。
「神以外、こういうことはない。ムハンマドは、彼の先駆者だ」。
「彼の顔、死んでも笑ってるよ。微笑んでいるようにも見える」。
「このような人を、見たことがあるだろうか」。
「死んでいるのに笑っている。どうしてか?」、で終わる。
国連事務総長、パン・ギムンは、死者は1000人になる、といっている。現実は、そんなものじゃない。あと数日ではあろうが、カダフィ、トリポリの町に死体の山を築いていくだろう。
多くの、”神の笑み”を浮かべた死体があるだろう。