斎藤ちさと なみとα展。

奥野ビル505号室を出ると、すぐ近くに表から見ると白っぽい部屋があった。静かな、というか静謐な感を受ける。
それまで505号室の丸山恵美子の派手やかな部屋にいたので、余計にそう思う。
502号室のギャラリーカメリア。
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後で、こういう案内状をもらった。
「なみとα|斎藤ちさと」、と記されている。
部屋の中には、白っぽく見える平面作品が、左の壁面に8点、右の壁面にはただ1点のみ掛けられている。それのみである。上下に筆や筆記具を走らせたような線、造形。
ストンとこない。難しいな。ひょっとして禅画かな、とも思う。
暫くして出ようとすると、「こちらにもあるんです」、と言う。
その部屋へ入ると・・・
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こういう映像が流れている。
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その映像は・・・
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微妙に・・・
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変化していく。
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このプロジェクターから。
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何か上下に揺れている。
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このようにも。
私は、何かが揺れ動くのを楽しんでいた。
この時には、私はこの揺れが、「波の打つような」ものであるとは知らなかった。
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ひと筆で。
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山がいっぱい。実際には、波が打っているんだ。
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ここから入った。
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初めに入った部屋が見える。
そのすぐ左に、この文字があるのに気がついた。
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こういう言葉。
谷村元珉純甫って初めて知る名である。地震学者なのか。
作家の斎藤ちさとさんに訊いた。
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斎藤ちさとさん、こういう本を持ってきた。
谷村元珉純甫なる男、伊予国大洲藩の医師である。知らなかった。その末裔の谷村英彦さんが、約200年前、何代も前の人の遺した文書をまとめたものらしい。
昔の医者は物知りである。谷村元珉純甫、地震のことにも詳しかったのであろう。
作家・斎藤ちさと、その谷村元珉純甫の「地震は・・・・・ 波の打つように ・・・・・」にインスパイアされて今回の作品を創ったようだ。
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片側の壁面の作品8点。
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さまざまな波が打つ。
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波が。
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対面の壁面にはこの作品1点。
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近寄る。
たしか、シルクスクリーンで刷った上に銀箔を貼った、と話していたような覚えがある。
やはり波ではあるのだが、よく見ると後ろに建物のようなものが見える。
「うんっ、これどこかの建物じゃありませんか?」、と作家・斎藤ちさとさんに訊いた。「そうです。これは築地です。築地の景色です」、と語り、「私は築地で働いていたんです」、とも。さらに続けて、「築地から豊洲へ移ってから、もう2、30軒が潰れてます。皆さん豊洲へ移ったことを怒ってますよ」、とも語る。「初めに築地から豊洲へ移すってことを決めたのは慎太郎の頃でしょうか?」、と訊いたら、「そうです。慎太郎の頃です」、と返ってきた。
いつだったか暫らく前、木場の東京都現代美術館から新橋行きのバスに乗ったことを思いだした。コミさんを真似たのんびりとしたバスの旅であったが、途中で豊洲も築地も通った。豊洲は市場の近くであったはずだが、そのような感じはしなかった。豊洲市場、やや外れているのかな。
斎藤ちさとの作品とは関係のないことながら、そのようなことも。
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いただいた斎藤ちさと展の案内状、4面ある。
その1面を。
「なみとα」展、面白かった。勉強にもなった。



今日、パールハーバーでは78回目の記念式典が催されていた。
78年前、日本の奇襲により亡くなった2400人の米国人を悼む式典が。



今日夕刻、アフガン・ジャララバードで銃撃され殺された中村哲さんの遺体が、中村さんの夫人や娘さんと共に成田に着いた。
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7時のNHKニュース、日本時間昨夜、アフガン・カブールの空港での模様を伝える。
赤いカーペットが敷かれた上を、正装したアフガニスタン軍人に護られ中村哲さんの棺が進む。最高の栄誉で送られている。
アフガン人として生き、アフガン人として死んだ、とも称えられている。棺はアフガニスタンの国旗で覆われている。
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中村さんの棺をアフガンの大統領・ガニが、軍人と共に担いでいることには驚いた。
中村さんを襲った犯人はまだ捕まっていない。しかし、彼らは明らかに中村哲さんを狙っていたであろう。今日のニュース映像からみて、その感を深くする。
アフガン大統領・ガニ、中村哲さんを政治利用している。それまでも、表彰したり、市民権を与えたり、と。
中村哲さんを殺した犯人は、恐らくISの分派であろう。彼らにしてみれば、中村さんは政府側の人間とうつったであろう。
昨日夜、11時からのNHK、ETV特集で「追悼 中村哲さん」という番組が流された。2016年に放映されたものの再放送。タイトルは、「武器ではなく命の水を」。
中村哲さん、アフガンの人を救うためには、医者では追いつかない、と考える。水だ、と。
で、聴診器を重機に持ちかえ、アフガンの乾いた大地に井戸を掘り、用水路を作る。医者であった中村哲さん、土木のことなどど素人。独学で治水のことを習得する。それをアフガンの乾いた土地に試みる。先頭に立って重機を操り。多くの地元住民も雇いいれ。多いなる雇用創出でもあった。
しかし、中村哲さん、理想主義者であるんだ。いいと思うことへ突き進んでいく。現実世界には、さまざまなことがあるのに。今から思えば、中村哲さん、あまりにもピュアであった。
そこをアフガン大統領・ガニに利用された。そう思えて仕方ない。
改めて無念な思いが沸きあがる。

丸山恵美子 まる語り七展。

不思議な作家である。はっきり言ってよく解らない。
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11月半ばの奥野ビル。
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505号室、ギャラリー松林。ハブラシがベンチに座っている。
開いたドアから中が見える。
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入る。
突き当たりにあるのがハブラシだなと思う。
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近寄る。今年初めのNAU展で見たな。≪言葉を待ちながら≫。
私の前に来た人は、「愛と星」って書いたらしい。こんな言葉、私には書けない。
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こういう紙が下がっている。
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私は、「愛と星」を消しこう書いた。
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赤いベンチに黄色いハブラシが座っている。バス停の横のベンチ。バス停の名は「ことば前」。
昨年のハブラシはベッドの中で眠っていた。不思議な作品である。面白いと言えば面白い。が、何じゃこれって言えば何じゃこれである。はっきり言ってよく解らない。不条理劇。
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後ろの小さな作品・・・
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これは解りやすい。
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このような。
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「ソースシリーズ」は続いていた。「サラダやデザートにソースをかけるように貴方の部屋にも・・・」、というソースシリーズ。色々なソースが幾らでも生まれるんだ。
中央の作品のタイトルは不明だが、右は≪ウットリソース≫、左は≪タメイキソース≫。
平面にしろ立体にしろ、アートというもの他人に解ろうと解るまいと、そんなことはどうでもいい。丸山恵美子の作品もその範疇。そこのところに不思議な面白味があるとも言える。
環境ということもあるのかもしれない。
丸山恵美子、イギリスの大学でアートを学んでいる。イギリス、コンサバな国ではあるが、その一面、案外ラディカルなところを併せ持っている。ピカソと比肩できるアーティストはフランシス・ベーコンである、というように。
「丸山さん、あなたイギリスではどんなものを描いていたのでしょうか?」、と訊いた。「過激なものをやっておりました」、と返ってきた。
現在の作品は「過激」とは言えない。「過激」から「不思議、不条理」の世界へ移行してきたのかもしれない。
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「ブログに載せる時に、あなたの写真も一緒に載せてもいいですか?」、と訊いた。「どうぞ」、とのことで撮った作家・丸山恵美子。
少し、よそ行きの顔つき。
右手のこの作品は・・・
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これ。
片手が・・・
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タイトルは≪散歩≫。
しれっと言ってくれるね、ホント。
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ハブラシが車いすに乗っている。そのハブラシの歯というかブラッシュすろところはタコの足である。
どう言えばいいんだ。不思議。
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そのタイトルがこうだから、えも言えず。
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その後ろのこれ・・・
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このようなもの。
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クリアファイルが下がっていた。残り2枚、と記されている。が、丸山さん、それを取りはずして1枚を「どうぞ」と言ってくれた。「あと2枚しかないじゃありませんか。いいですよ。結構ですよ」、と言った。「いや、いいんです。また、作りますから」、と丸山さん。ありがたく、1枚頂戴した。

LOVE アジア。

東博東洋館のリニューアル以来、「博物館でアジアの旅」が秋の恒例となっている。
2015年は、「発見!つながるアジア」として、文化交流の視点で東洋館を楽しんでいた。サムルノリの演奏もまじえ。
2016年は、「東博X上博 夢のコラボ」。東博と上海博物館の競演であった。
2017年は、「マジカル・アジア」。ようこそ、マジカルの館・東洋館へ、というものであった。
そして昨年は、「海の道 ジャランジャラン」。「ジャランジャラン」は、インドネシア語で「散歩」という意。海がいっぱいのインドネシアのあちこちを散歩した。
で、「博物館でアジアの旅」の今年のテーマは、「LOVE アジア」。
LOVE、ラブか、ラブ、愛だな。さまざまな愛がある。
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この秋の東博東洋館。
入口には日中韓の文字で「愛」の字が。
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LOVE アジア。
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東洋館に入ると、パスポートをくれる。
「博物館でアジアの旅 スペシャルツアー2019」の20ページのパスポートを。
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旅の初めは・・・
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これ。
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小さなものだが、これは・・・
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これ。
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唐三彩の枕は・・・
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こういうもの。
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趣深いこの器・・・
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近寄る・・・
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こういうもの。
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これは・・・
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こういうもの。
いや、どれもこれも味があるものばかり。「LOVE アジア」の品々。
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今年もアジアの占いコーナーがあった。
こっれは「シャガイ占い」。ヒツジのくるぶしの骨をふって占う。何年か前、私も占った。すこぶる良い結果であった。が、この占い、悪い結果が出てもめげることはない。再チャレンジできるんだ。いい占いが出るまで。
アジアの懐の深さである。
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この扇面は・・・
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このようなもの。
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中国の文人の書斎だと思われる。
中央に軸がかかっている。
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これである。
孫文の書。「博愛」。
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このような。
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この合子・・・
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螺鈿の白頭鳥と薔薇。
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これは・・・
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上から下まで一分の隙なくはりついている。
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こういうもの。歓喜仏ともよばれる。
チベットへ行ったことはない。が、ネパールへは何度か行っている。このような仏、そこかしこに見ることができる。アジアの愛のひとつ。
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このコーナーはインド。
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こういうものが貼ってある。
インドの細密画である。
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この作品・・・
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今年の「LOVE アジア」のパンフにもフィーチャーされているこの作品・・・
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こういう説明がある。
しかし、この矢の先には、雄鶏がいる。その雄鶏を矢で撃つ。雄鶏が死ねば、夜は明けない。いつまでも二人の世界、ということになる。
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で、この作品。
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「太守」というのは「マハラジャ」であろう。
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近寄る。
インドの細密画、このようなものが多く見られる。インドのあちこちの古道具屋で。
インドの細密画、モロなんだ。日本の春画とはまったく異なる。日本の春画が内包する「趣き」が感じられない。
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この作品も・・・
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このようなものであるが。
王子と王女も。
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このコーナー、ワヤンが並ぶ。
インドネシアのコーナーである。
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これは・・・
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男はこう。
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女はこう。
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これは・・・
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男はこう。
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女はこう。
アジアの愛、「LOVE アジア」、さまざまな愛がある。
恋愛、性愛、家族愛、人類愛、博愛、その他さまざまな愛がある。



昨日から今日にかけ、アフガニスタン・カブールでは、銃撃を受け死んだ中村哲さんを悼む催しが営まれている。
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蝋燭が灯された中に中村哲さんの横顔が。
Nakamuraの文字も見える。
中村哲さん、「LOVE アジア」アジアの愛どころか、人類、人への愛を全うした。

犬飼三千子展。

犬飼三千子、グループ展は四六時中行っているが、個展はやはり2年に一回。
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銀座4丁目和光裏のギャラリー・オカベへ。
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ギャラリー内を見ると、アレッ、あの大きい作品、前回展にも出ていたのじゃないか。
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犬飼三千子の個展には、毎回初日に行っている。初日のオープニングに酒を持って。この狭いスペースに3、40人の人があふれているのが常である。
しかし、今回展には初日に行けなかった。身体の具合が悪い上に、この暫らく前、腰椎の圧迫骨折が分かったこともあった。が、ゆっくりとなら歩いて行くことができる。会期中に行った。いつものオープニング時の熱気はなかったが。
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犬飼三千子、この大きな作品がよっぽど好きらしい。
≪緑のシンフォニー≫ 90X500cm。これのみアクリル画。
実は2年前の前回展の時にも、私はこの作品についてあまり芳しいことは記していない。ウーン。
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こういう世界がいい。
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≪森で遊ぶ≫ 60X90cm。木版。
犬飼独自の造形。
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≪風にのって≫。
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≪森で憩う≫。
森で遊んだり、風に乗ったり、森で憩ったり、というタイトル素直でいいな。今までは「往にし方」なんて、初めの頃は私は読み方さえ知らなかった。犬飼三千子、平穏な心で描いているようだ。深い森の中、犬飼三千子のみが知る世界。
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このコーナー。
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10X10cmの小さな作品は、(上)は≪天上花≫ 銅板。(中)は≪ダンス≫ 木版。(下)は≪小さな窓≫ 木版。
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≪森の宴≫ 60X90cmの木版4枚組。
深淵な宴、美しい。
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近寄る。
面白い。
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より近寄る。
この造形、この色彩、不思議。
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ウン。
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栗のイガを思わせる。
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海胆のトゲトゲとも。
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あっちを切り取っても、
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こっちを切り取っても、犬飼ワールド、犬飼の世界。
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面白い。


昨日、先般の杉浦良允の作品集上梓記念を兼ねた、学生時代の古い仲間の忘年会を新宿で持った。
犬飼三千子も来ていた。一昨々日記した小澤潔も来ていた。
実は、小澤からは一昨日夜、1枚の画像が送られてきた。私が、今年の版画展の小澤の作品に人物の影がないのが云々、と記した故である。送られてきた画像、なかなかいい。人物、男の姿が入っている。本を読んでいる。行動し、考えているんだ。
昨日、小澤と話した時、小澤はあれは落ちた作品なので載せないでと言っていたが、人物がいるのといないのと、対になる作品として制作した、とも語っていた。「とじられた本」とそれを読む男、対であるならばそれも紹介しなければ。小澤の了解を得ないままその作品を貼りつけます。小澤、ごめん。
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これである。
≪とじられた本≫の対となる作品・≪ひらかれた本≫。
素晴らしい。


今日、中村哲さんが、アフガニスタン・ジャララバードで銃撃を受け死んだ。
腹部へ2発の銃弾を受け。
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私の中では、中村哲さんは緒方貞子さんと共に誇りであった。日本人であることが誇らしく思える数少ない人の一人であった。
アジアの貧しい人たちを助けよう、力になろうという人がいる。
以前、カトマンドゥの食堂で会った人に誘われ、近藤亨さんという人を支援する会に入っていたことがある。近藤亨さん、ネパールの奥地・ムスタンで、貧しい人たちへ農作を教え地域整備に努められていた。94歳で亡くなるまで。また、30年以上前、インド・サールナートで学校へ行けない子供たちのための学校を作るという日本人のお坊さんにあったことがある。そういう人たちがいる。
しかし、時折りニュース映像に現れてくる中村哲さんは、ある種別種の輝きがあった。
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中村さん、1年の2/3はアフガンの地へ行っていたそうだ。
タリバンはいち早く、この事件には関与していないとの声明を出した。IS、イスラム国が怪しいが、中村さんは帰らない。
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医者ではあるが、それではどうにもならないことがある、と。
それで井戸を掘り、灌漑用水を作り、と。
アフガン東部、危険極まりない地域である。中村哲さん、「いつ命が」という覚悟は常に持っていたであろう。
そして今日、その時が来た。
涙が流れる。

山宣のコラージュ。

山宣(山本宣史)、水墨画や作家が膠彩画と呼ぶ絵を描いている。山や海、ヨーロッパの古い街などを。特にお得意とするのは劔岳だ。ここ7、8年の日本表現派展への出品作も、その大半は劔岳を描いたものであった。表からの劔岳、裏からの劔岳、と。水墨画や山宣が膠彩画と呼ぶ日本画で。
それが今年の日本表現派展の会場にはなかった。
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日本表現派展、第63回展となる。
後期高齢者ながらとてもパワフルな女性・今岡紫雲英さんの白髪が見える。
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今岡紫雲英≪大道芸人達≫。水墨画。
今岡さん、休みの日など上野公園などに行き、大道芸人をスケッチしている、といつか話していた。
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力強い筆致。大道芸人の悲哀を描く。
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今年の日本表現派展への山宣の出品作はこれ。
山本宣史≪西方浄土乃国緬甸≫。「緬甸」、ミャンマーと読むそうだ。ミャンマーが仏教国であることは知っているが、「緬甸」と書くことは知らなかった。
それよりも、山宣のこの作品、コラージュであることに驚いた。さまざまな素材、技法をコラージュしている。
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ここらは水墨、膠彩画か。霊的世界を感じる。
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昔はビルマと言ったミャンマー、パゴダの世界。が、何とその下に写真が貼りつけてある。コラージュである。
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水墨のミャンマー。
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ミャンマーの町中の物売りの写真がコラージュされている。
9年前、高橋のチェンマイの別荘へ杉浦と二人招かれた。高橋、タイ北部へも連れてってくれた。国境の町・メーサイからミャンマーへ入った。数時間であったが、こういう露店も並んでいた。ミャンマーの道の脇で物を売るおばさんたち、みなさんこういう感じ。
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山宣の今回の作品の右下を見る。
スーチーさんの顔の下に、”NOW”と記されている。
よく見てみると、”MyanmarーJapan 2018 ART EXHIBITION”、とも。昨年末の12月にミャンマーの大都市・ヤンゴンで、ミャンマーと日本のアーティストが参加した催しが催されたそうだ。山宣、その催しに参加したそうだ。日本の絵描きとして。知らなかったが、山宣、国際親善活動もしているんだ。
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山宣、今回の作品の中に、自らの姿もコラージュしている。さりげなく。
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例年の通り、作品の横でニッコリとする作家の写真を撮る。
ところで、今年の日本表現派展には、山宣が天才と呼ぶあの花鳥画の作家の作品が出ていない。現代の琳派・中野大輔の作品が見当たらない。山宣に訊いた。
と、「ああ、彼は日本表現派をやめて、ニューヨークへ行きました」、と返ってきた。
そうか。ギンザシックスのゴウジャスな画廊で、1点400万円だとか500万円だとかで作品が並ぶ絵描き、ニューヨークに行くのが賢明であろう。ニューヨークで琳派の花鳥画を、と。中野大輔、ニューヨークで成功する確率はそこそこ高い、と思う。
毎月「藝術新潮」を見ている。いつの頃からか巻末に「千住博の往復書簡」という見開きページがある。日本画家である千住博、ニューヨークにアトリエを構えている。その千住博、毎号、巨大企業の社長やノーベル賞受賞学者などと書簡を交わしている。何かいやらしいな、という感じを受ける。同じニューヨークにアトリエを構えた中野大輔には、千住博のようにはなってほしくないな、と思う。
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実は、日本版画協会の版画展と日本表現派展は、東京都美術館で同じ会期で催されている。
で、先に版画展で小澤の作品を見てから、表現派の山宣の方へまわる。小澤が酒を飲まない故なんだ。
山宣の作品の前、久木と高橋がいる。これに山宣の弟とその友達、都合6、7人でどこかへ行くことになる。山宣の知る店へ。
ところが、山宣が知るその店に辿りつくまでは大変だった。あちこち行ったり来たり。私は足も腰も痛かった。脊柱管狭窄症の症状が進んだのかな、と思っていた。しかし、そうとばかりではない、と分かったのはその少し後であった。


やっと辿り着いた飲み屋での山宣の話に、上野駅に猪熊弦一郎の絵がある、とのことがあった。上野駅には時折り行くが、猪熊弦一郎の絵のことは知らなかった。
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帰り、改札の上を見ると・・・
駅舎の壁画としては、なかなかいい。
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中央改札の上に・・・
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昭和26年に制作したものだそうだ。タイトルは≪自由≫
その後、昭和59年と平成14年に修復されている。


ユーキャンの今年の言葉、トップは「ONE TEAM」。
そうか、そういうことか、とも思うが、リーチ・マイケルをただ利用しているだけだとも。


COP25が始まった。
195か国が参加したり、国連事務総長のグテーラスが何を言おうと、どうなるものでもあるまい。
あの男、アメリカのトランプがパリ協定からの離脱を通達しているのだから。
世界を救うためには、あの男・トランプを排除しなければならない、ということは自明の理であるが、それがそうといかないことが、問題だ。アメリカ国民よしっかりしてくれ、と思うのみ。

第87回 日本版画展。

東京都美術館での日本版画協会の版画展・・・
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今年は第87回。
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日本版画協会でも毎年「なるほど」という企画を行っているが、今年はこれ。
「山口源顕彰事業」。
私は知らなかったが、山口源という方は沼津市に所縁ある版画家だそうだ。で、沼津市では毎年若い版画家に対し、山口源を顕彰する賞を出しているそうだ。
その賞を受賞した若い作家が、市内の小中学生たちに版画指導をする。
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それら一連のことを総称して「山口源顕彰事業」と呼んでいる模様である。
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毎年恒例の「はんが甲子園」もあった。
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各室、多くの作品が並ぶ。
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小澤潔の作品が見えてきた。
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小澤潔、日本版画協会展へは5年連続して入選している。
2015年は、≪Y氏の食卓≫。Y氏なる男が食卓で何かを食っていた。
2016年は、≪そとは雨降り≫。ベッドに座った男が、窓を通して雨が降る外を眺めていた。
2017年は、≪Walk(M)≫。横浜を思わせる洒落た町のパン屋の前を、男が歩いていた。
そして昨年の2018年は、≪キースを聴きながら≫。男が、キース(キース・ジャレットであろう)のピアノを聴いていた。
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で、今年の作品はこれである。
ん、人物がいない。男がいない。本であり、書棚である。
小澤潔、おそらく、その作品が内に含む気配を変えよう、変化させようと考えたのではないか。
しかし、静謐に過ぎる。私にはそう思える。
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昨年までの作品は、Y氏は何かを食べながら考えていたし、ベッドに座った男は外の雨を見ながら考えを巡らしていたし、パン屋の前を歩く男の足は速かったし、キースのピアノを聴く男もまた何ごとかを考えていた。
皆、何らかの行動を起こし、考えていた。その男たちがどこかへいってしまった。
小澤の意には反するであろうが、寂しい。
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白と黒。その白は胡粉、と以前聞いたことがある。
小澤、そのテクニックは凄い。
何十回も版を重ねている。表ばかりじゃなく裏からも刷る。
驚くばかり。
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書棚。本。
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忘れていたが、タイトルはこう。作品の左下を。
≪とじられた本≫。「1/1」とある。つまり、1点のみの制作。
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ついでに作品右下の小澤潔のサインも。
小澤、タテに書く文字も上手いが、ヨコに書く文字も上手い。



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ラグビー関東大学対抗戦、今日、25年ぶりで全勝どうしの早明戦が行われた。
今年の対抗戦、この10年ばかり一強、絶対王者であった帝京が3敗している。明治、早稲田、慶応に敗れた。地殻変動が起こっている。
今日の秩父宮、6戦全勝どうしの早稲田と明治、早明戦に5万の観衆であふれている。早稲田のキックオフでゲームは始まる。
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早明両校、陣地の取りあいで始まる。
初スクラムは11分すぎ。スクラムは重量フォワードの明治が有利。スクラム、5回繰り返されついに早稲田、コラプシングの反則を取られる。
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「タテへ」の明治が復活していた。
明治、重量フォワードでタテ突進を繰り返し、16分過ぎトライ。ゴールも決まり、明治、7点を先制する。
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前半24分、明治ゴール前、早稲田攻める。
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早稲田10番・SOの岸岡智樹が駆け抜けトライ。ゴールも決まり、7対7となる。
前半はこの後、明治が1PGを決め、明治10-早稲田7で前半戦を折り返す。
後半が始まる。開始10分が大事、と両校監督は語っていた。が、何と後半開始3分も経たずに明治がトライをあげる。ゴールも決まる。
その少し後にも、明治はトライ、ゴール。ワンサイドゲームの様相となる。
早稲田、明治のモールを2度も押しこまれ、トライにつなげられた。
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こんなワケはない、と思いつつも、明治に次々とトライとゴールを積み重ねられていった。
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終わってみれば36対7、早稲田、完敗した。
ノーサイド後の両チーム。
明治の2番は、主将のフッカー・武井日向。早稲田の9番は、主将のSH・斎藤直人。
明治の主将がフォワードの要のフッカー、早稲田の主将がSH・スクラムハーフ、両校の立ち位置をよく表わしている。
いずれにしろ、年明けの大学選手権、楽しみだ。

後藤亮子展。

2年に一度の後藤亮子展、今年は10月初め、銀座7丁目の画廊・宮坂で催された。
ギンザシックスの角を曲がり画廊・宮坂へ。
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いつものような後藤亮子展の看板が現れる。
前回展から2年か。そんなに経った気がしない。時間がビュンビュンすっ飛んでいるんだ。
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木の桟の隙間から中が見えるのが、画廊・宮坂のらしいところ。
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小澤と久木がいる。この日、作家・後藤亮子の息子さんも来ていた。
その後ろの壁面を見る。
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ここ。
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前回であったかその前であったか、私は後藤亮子の作品を「カームフレイバー」と呼んだ。「ゴトウユーゲニズム」とも。こういう作品を見ると、そういう思いに囚われるじゃない。何か揺蕩うような。
誰しもがそう思うのではと思っていた。が、その後、誰からも「カームフレイバー」とか「ゴトウユーゲニズム」とかという言葉を聞いたことがない。第一、作家の後藤からもまったく聞かない。ま、仕方ない。
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≪空のはじまり≫。
大古の風景画じゃないかな。
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こちらの壁面。
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企んで絵を描いている作家もいる。しかし、後藤亮子はそれとは対極の世界。
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≪未知数≫。
未知数ってこういう形や色彩をしてるんだ。
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≪空のゆくえ≫。
アクリル絵具を使う作家が多くなる中で、後藤亮子は油絵具を使い描いている。
しかし、この作品のみは水性油絵具を使った作品だと言っていた。2か月近く前になるので、ややあやふやなところはあるが、確かそう言っていたような気がする。私は、「水性の油絵具ってそんなものがあるのか」、と言った覚えがあるので。油絵具は油で溶くから油絵具だと思っていたので。そのようなことなど知らなかった。
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入口右のこの壁面。作家・後藤亮子と息子さん。
後ろの作品は・・・
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≪日曜の午後≫。
そう言えば、そのひと月ほど前の9月初め、ジョルジュ・スーラの≪○○○○の日曜日の午後≫のことを考えたな、ということを思いだした。
正面から撮ると、どうしても写りこんでしまう。
色の濃い部分に、息子さんの姿が写りこんでいる。
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≪伝言≫。
こちらには、作家である母親の姿が写りこむ。


前回の後藤亮子展には来ていた伊藤と羽生はいない。みんなあまり来ない。都合の悪い連中が多い。杉浦はそうではないはずだが来ない。忘れたのかなと思っていたら、ギリギリで京子さんと来た。京子さんが一緒だと大丈夫。
前回の世話役・高橋も予定が合わず。この後、どこへ行こうか。画廊・宮坂の人に教えてもらったハオハオテイ(好々亭)へ行く。6~7人で。
ハオハオ亭、美味かった。最近の私、何を食っても美味くないのだが、ハオハオ亭の中華料理は美味かった。コスパもよかった。


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7時すぎ、有楽町の方へ。
と、中央通りにこのような車が。大きな車である。
<プーチン大統領も世界を救う地球革命の同志です>、と記されている。<GLOBE REVOLUTION>、とも。プーチンと一緒に地球革命をしようと考えている団体のようだ。よく見ると、「天照大神御用」とも記されている。
プーチンと天照大神、相性がいいものと思える。


中曽根康弘を悼む声が、世界のあちこちから上がっているそうだ。
今日、ゴルバチョフは日の出山荘に招かれた思い出を語っている。
中曽根康弘、レーガンばかりじゃなくゴルバチョフもあの山荘に迎えていたんだな。やはり、大人。