流山子雑録     『酔睡胡乱』

早稲田美研60-70 第10回展(続き×6)


今日は6人、杉浦良允の作品からいこう。
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杉浦、三角形とか六角形とかその立体とかそれから派生するものとかを長年描いていたが、ここ10年ばかりは尖った三角形・トゲトゲとなっている。幾分曲がったり、波打ったりとしたものもあるが、概ねトゲトゲ。
杉浦の絵描き人生、それで貫いてきた。対象は異なるが、熊谷守一が飽かずにじっとアリの行列を眺め、アリさんの絵を描いているのに譬えられる、と私は思う。
今回展出展作の4点、近づいてみよう。
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≪Red & Black≫。
アクリル。以下、すべてアクリル画。
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≪Green Forest≫。
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≪oblique angle≫。
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≪Red & Green≫。
杉浦の作品、色がきれいなんだ。
マスキングテープを使っての制作であろうが、時間がかかるよ、これは。
アーティストにしてアルチザンの成せる技。


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昨年、東博でのデュシャン展の折りにも記したが、マルセル・デュシャンの作品は案外観ている。
東大所蔵の≪大ガラス≫、レディメイドの≪泉≫その他、≪L.H.O.O.Q.≫,・・・、・・・
そのデュシャン、≪グリーン・ボックス≫と≪ホワイト・ボックス≫は作っている。しかし、「ブラック・ボックス」は作っていないんだ。
で、デュシャンになり代わり、もちろんデュシャンへのリスペクトをこめ、「ブラック・ボックス」を創作した。
77歳も残りわずかの奥のインスタレーション・≪77老人R.O. イン ブラックボックス≫。
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このブラックボックス・黒い箱がキモである。
百均で買ったプラケースに黒いジェッソを塗った。
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ブラックボックスに入っている紙片は28枚。
ブラックボックスの横に貼りつけた。ほとんど小澤がやってくれた。
これらはPCの古いソフトを使って制作した。百均ショップで買ったペンやクレヨンで描いたものや手を入れたものも5、6点ある。
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幾つかを。
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この展覧会にいつも来てくれる学生時代の同級生が、今までで今回の作品が一番面白い、と言ってくれた。
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あとひとつ、上の方を。


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杉浦京子のコラージュ・≪人間模様≫。その1、2、3。
杉浦京子、「今回は変えた」と言っていた。たしかに、そうだ。どことなしに洗練された感じがする。
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真ん中のこの作品。「その1」の「人間模様」の作品を見ても。
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光りを放っている。
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コラージュであるが、その元の素材は、と訊くと・・・
今回の作品は約100年前の雑誌から切り取ったものだ、と言う。
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京子さんの力をこめたコラージュだ。


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高橋の作品だ。
レーザープリントの作品、何やら黒っぽい。
4点の作品、右から順に載せてみる。
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≪バナナ≫。
高橋の作品、敢えて拡大をしない。
その方が、作家・高橋の意に沿える、と考える故である。
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≪蝉≫。
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≪椿≫。
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≪みかん≫。
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≪みかん≫、ひとつ、これだけに近づいてみよう。
んっ、「死」あるいは「死生観」という言葉が浮かんでくる。


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小澤、皆の作品を取りつけてから、自らの作品の取りつけにかかった。
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上下2点。
≪夜の停留所≫。木版。
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バス停だな。
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バスが来て、男は乗っていったようだ。
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何十もの版を重ねてきた紙の裏を、敢えて表として使っている。

(ここまで記して眠ってしまった。一昨日)
(今日、3月1日、つけ加える)

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小澤潔の思い。

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後藤亮子の作品。
陶板である。
後藤亮子、この秋、個展を催す。そのための制作をしている、という。で、今回の出品作は以前のものだそうだ。
これがなかなか面白い。
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≪かたち 1≫から・・・
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こういって・・・
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≪かたち 7≫まで。
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≪かたち 1≫。
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≪かたち 7≫。
なにやら触りたくなってしまう。そう言ったら、「どうぞ。触ってもいいのよ」、と返ってきた。