秩父の高校生。

東博正門前の新年の生け花。
今年は、これ。

作者は、真生流家元・山根由美。
竹、椿、南天。
袈裟懸け一閃、一刀両断にされた竹の断面、天を突く。

本館正面の特設舞台で、和太鼓の演奏もある。
演じるのは、埼玉県立秩父農工科学高等学校の秩父屋台囃子保存部の高校生。
「農工科学高等学校」、珍しい名である。農業系と工業系、それに家庭系のコースがある専門高校だそうである。秩父農工科学高等学校、その創立は、明治33年(1900年)。110年を超える歴史を誇る伝統校である。
そのHPを見ると、相撲部、弓道部といったユニークな部活がある。秩父夜祭りの屋台囃子の稽古に励む「秩父屋台囃子保存部」もそのような部活のひとつ。

30年近く前、一度だけであるが、秩父の夜祭りへ行った。師走、12月の初め、寒くなった頃であった。
秩父の夜祭り、凍てつく寒空の下、笠鉾と屋台が曳きまわされる。日本三大曳山祭のひとつである。優美というより、勇壮という印象がある。
20年ほど前、古い友人の娘が秩父の男と結婚した。
池袋から西武のレッドアロー号で秩父へ向かった。事実は小説よりも奇、というドラマティックな結婚式であった。古い友人は、その後、若くして死んだ。しかし、その後も何年もの間、秩父へ嫁いだ友人の娘からは年賀状が届いていた。何人もの子供が生まれていた。
今では、大学へ行っている子供もいるだろう。今、高校生の子供もいるかもしれない。秩父農工科学高等学校かどうかは分からないが、秩父の高校生に。

秩父農工科学高等学校の秩父屋台囃子保存部、昨年の全国高等学校総合文化祭の郷土芸能部門で第2位となったそうだ。58団体が参加した全国の高校生による郷土芸能部門で第2位。文化庁長官賞を受賞した、という。
たしかに、秩父の高校生の秩父屋台囃子、上手い。

秩父屋台囃子、大太鼓、小太鼓、笛、鉦で構成される。
特に、大太鼓1に対し小太鼓3のバランス絶妙のリズムを紡ぎだす。

途中、部長であろう男の子が挨拶をした。
秩父の夜祭りばかりじゃなく、老人クラブへの慰問、あちこちのイベントへの参加、さまざまな活動をしているようだ。

演奏再開。
細いバチで大太鼓を。リズミカルなこの響き、またいい。

大太鼓を通常の太いバチで。

こちらの大太鼓も。
そのリズム、ノッてくる、ノッてくる。身体が動く。
印半纏の背中には、”丸に高”の文字。秩父の高校生である。

太鼓の打ち手は、次々と変わっていく。
しかし、上半身を後ろに倒して太鼓を打つ大太鼓の打ち手は、常日頃、腹筋を鍛えているのに違いない。そうでなければ、あのようなバチさばきはできない。

終って、観客へ向かって一礼。
秩父の高校生、礼儀正しい。

終れば、手際良く片づける。

秩父屋台囃子、秩父の高校生に受け継がれている。この後も、次々に。


今、日本の高校生、高梨沙羅が敗れた。
スキージャンプ女子ワールドカップ第5戦、ロシアでのチャイコフスキー大会、高梨は3位に沈んだ。
高梨沙羅、ワールドカップ開幕4連勝であった。来月のソチ五輪でも、絶対の優勝候補。
しかし、私は心配していた。高梨らしい飛距離が伸びない。テレマーク姿勢に拘るあまりのこと。他を寄せつけない飛距離が伸びない。負けるんじゃないか、不安であった。
今日、その不安は的中した。
来月のソチ五輪では、テレマークに拘るよりも、高梨らしい豪快なジャンプをしてもらいたい。