プーシキン美術館展。

ロシアには時としてバカでかいものがある。モスクワのプーシキン美術館もデカいようだ。また、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に次ぐ収蔵品を持つというから、世界で二番目に収蔵品の多い美術館、ということにもになる。
西ヨーロッパ、特にフランス絵画の珠玉のコレクションを持つという。こういうところ、ロシアだなーって思ってしまう。ウラルの向こうのロシア、ヨーロッパではあるのだが、ヨーロッパの辺境といえば辺境なんだ。はっきり言えば、ヨーロッパの田舎。だから、フランスの芸術に憧れが強かったんだ。
面白いことにそのフランス、逆にロシアの芸術に対し憧れ、崇めるところがある。バレエリュスに対する惹かれ方などその典型。だから、面白い。

夏前の東京都美術館のあの窓。
いつも思うのだが、この窓の向こうを鮮明に撮る方法ってあるのかな。

「旅するフランス風景画」と記されている。フランス絵画、あちこち旅をする風景画を選んで持ってきた。

都美術館の特別展の時のお決まり、入口左のスタンディ。
クロード・モネ≪草上の昼食≫。
1866年、モネ26歳、印象派の序章、とパンフにある。
この2年前、エドアール・マネが≪草上の昼食≫を発表している。ヌードの女性を配した。若きモネ、同じテーマで挑んだ。モネの主旋律は「光」であった。

クロード・ロラン≪エウロペの掠奪≫。1655年。
こういう神話世界の歴史画に惹かれていく。

ギュスターヴ・クールベ≪山の小屋≫。1874年頃。
写実主義の画家・クールベ、風景であれ人物であれあらゆるものを見たままに描いている。
オルセー美術館に≪世界の起源≫というクールベの油彩画がある。おそらく2、3年に一度展示されているのだと思う。初めて見た時には驚いた。女性の下半身、女陰が精緻に描かれている。写実主義の大家・クールベにより。オルセーに行った2、3度に一度は見たが、だんだんさすがクールベと思うようになってきた。

オ−ギュスト・ルノワール≪庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰≫。1876年。

ポール・セザンヌ≪サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め≫。1882年ー85年。
「山」というものは人、就中表現者を捉えるものだ。富士にしろ桜島にしろ。

ジャン・フランソワ・ラファエリ≪サン・ミッシェル大通り≫。1890年代。
パリ、セーヌ左岸、サン・ミッシェル大通り、馬車が車に変わっただけで他はさほど変わっていない。

クロード・モネ≪白い睡蓮≫。1899年。
パリ、フランス、ヨーロッパがジャポニズムの波に包まれていた頃であろう。

アンリ・マティス≪ブーローニュの森≫。1902年。

アンドレ・ドラン≪港に並ぶヨット≫。1905年。
ニースとモンテカルロに数日滞在したことがある。コートダジュールの港、数多くのヨットが停泊していた。プーシキン美術館展、たしかに「旅するフランス風景画」である。

アンリ・ルソー≪馬を襲うジャガー≫。1910年。
凄い作品だ。
税関吏・ルソー、南国へ行ったことはない。植物園や動物園へ行き、その模様を頭にインプットしたものと思える。
リアリスティックでもあり、シュールでもある造形が生まれた。

最後、ここのみ撮影OKとなっている。

≪馬を襲うジャガー≫のスタンディの前でパチリ。
音声ガイドは水谷豊であった。が、今、記憶に残っておらず。


昨日、ブラジル大統領選で「ブラジルのトランプ」という男が勝った。
世界のあちこち、自分のみが良ければいい、というトランプ現象が席巻している。
二つの州議会選挙で歴史的大敗を喫したドイツのメルケルは、CDU党首を辞任、首相職も2021年秋の任期までは務めるが、その後は政界を引退する、と表明した。
なんとメルケルがいなくなる。
メルケルに代わる世界のリーダーって誰がいる? 誰もいないよ。
トランプや、プーチンや、習近平なんて、誰も御免こうむりたいよ。