バンコク散歩(22) ワット・マハタート。

ワット・ヤイ・チャイ・モンコンから10分ばかり走り、ワット・マハタートへ。
ワット・マハタート、著名なお寺である。著名である理由は二つある。そのひとつは、木にがっしりと挟まれた仏頭があること。あとひとつは、ビルマの軍隊に徹底的に破壊されたお寺であるということ。だから、お寺の遺構、遺跡と言えば、より正確。

小さなチケット売り場。

左手の道の向こうが遺跡。

入る。

遺跡に来ているんだなって感、いやでも。

このような看板が目に入る。
仏塔にのぼるな、という注意書き。タイ語、英語、そして日本語で。崩れかけている仏塔などの遺構に登るバカなヤツがいるんだ。

何と言えばいいんだろう。
蓮華坐を組んだ足以外何もない。首どころか腹から上が何もない。切り取られている。

冒頭、このお寺を著名な云々と記したのは、これ。
木の根にあたるのであろうか、ともかく木にがっしりと挟まれた仏頭である。

いつの頃からであろうか。
おそらく、アユタヤ滅亡のその時以来ではないか。となると、ほぼ350年前からとなる。

頭を刎ねられた石仏が。

遺構の中を・・・

進む。

人間ってものはバカ者で、昔から今まで喧嘩ばかりをしてきたと言ってもいい。残酷、残忍な行いもしてきた。
今日も、イスタンブールのサウジ総領事館に入ったサウジの反体制の人物が行方不明になり、そこで殺害され遺体は国外へ運び出された、とトルコ政府が発表した。サウジとトルコ、共にイスラムの国であるが、宗派の違いということばかりじゃなく突っ張りあっている。国家どうしの喧嘩である。
さらに隣の国との関係となると、よりややこしくなる。日韓、しかりである。
アユタヤへ目を転じると、ワット・マハタートの仏さま、その多くは首や胴体から上が刎ねられている。

アユタヤ、たびたび隣国ビルマの攻撃を受ける。
1767年、アユタヤはビルマの軍門に下り、アユタヤ王朝は滅亡する。

ビルマ軍、アユタヤの町を徹底的に破壊する。
ワット・マハタートの仏さまもそのほとんどは首を刎ねられた。首どころか胴体から上が刎ねられた仏像も多い。人間って、残酷、残忍、残虐な行いをする動物なんだ。昔から。
今もそう。バカな動物、世界の為政者に何人もいる。

このような中を歩く。

とても趣きのある遺構である。

パイプが組まれている。
修復というよりは、おそらく、崩壊を防ぐための補強作業ではなかろうか。

ここにもこの注意書きの看板がある。
この看板、5、6か所で見た。みんなの遺跡、遺産である。

この少し先から外へ出る。

外へ出た後、振りかえる。
廃墟の美であるな、と思う。