ヒーローなき場所だった。

昨日までの4日間、日中出ていて中継は見ていなかったが、今日秋場所が終わった。
先場所が終わった折り、これは世代交代の匂いがするなと思った。御嶽海が優勝したということばかりじゃなく、三賞を取った豊山と朝乃山、さらに貴景勝、北勝富士、阿武咲、といった新世代が力をつけている、と。
しかし、今場所、終わってみれば白鵬の全勝優勝。何のことはない、何年も前からの白鵬一強時代に戻ったよう。若い世代は粉砕され、誰ひとりヒーローが生まれなかった、という珍しい場所となった。三賞も制定以来初の該当者なし。
ま、しかし、若い世代はそれとして、今場所の最大の関心事は稀勢の里であった。
8場所休場の稀勢の里、進退を賭けて今場所に臨んだ。

今場所初日、場所入りする稀勢の里。

初日、土俵下の稀勢の里。

四股名を呼ばれ土俵上の稀勢の里。
稀勢の里、初日は勝った。5日目までも連勝を続けたが、ハラハラドキドキの心臓に悪い相撲が多かった。稀勢の里の相撲、日本中の年寄りの寿命を確実に縮めたに違いない。

中日8日、全勝は白鵬と鶴竜の両横綱。
この日、稀勢の里は今場所調子の出ない玉鷲に完敗、2敗となる。
今場所大関獲りのかかる御嶽海は2敗、大関カド番の栃ノ心は3敗。共に黄信号が点る。

そして今日、千秋楽、昨日までの稀勢の里の星取。
勝越し、何とか二桁に乗せている。協会としては、これでホッとひと息といった星取であろう。

去年3月場所の優勝額。
この場所の左胸へのダメージが、その後の稀勢の里を苦しめている。

稀勢の里、千秋楽の相手は豪栄道。
豪栄道、場所前の横審総見の時にも稀勢の里を圧倒している。

土俵下の稀勢の里。何思う。

応援団、御嶽海のそれが威勢がいいが、稀勢の応援団もそれなりにである。

稀勢の里、突き落としで敗れる。

秋場所千秋楽、結びの一番。白鵬と鶴竜の一番。
前日に白鵬の優勝が決まり、鶴竜の負けがこんでいるが、見応えのある一番であった。

両者、がっぷりの四つとなった。

最後は白鵬が鶴竜を送り出すのであるが、解説の北の富士さんがこう言った。
「いやー、いい相撲だったねー」、と。確かに、横綱同士ががっぷり四つに組みあい勝機を狙う、見応えのある一番であった。

この一番、勝った後の白鵬、こういう表情を見せた。
全勝優勝、しかも今年初の優勝にホッとしたのであろうか。

白鵬、幕内通算勝ち星、昨日で1000勝、今日で1001勝になるという。

連続優勝年記録も大鵬を抜いてトップ。

最年長優勝はこう。
羽黒山の記録まではあと4年近くある。
その間、幾つ記録を積みあげるのか。

内閣総理大臣杯は菅義偉が渡した。
内閣総理大臣杯、安倍晋三に代わり誰が渡すのかなと思っていた。
先日の自民党総裁選で奮闘した甘利明かもしれないな、と思っていたが、官房長官留任が濃厚な菅義偉に落ちついた。妥当なところであろう。

三役以下幕内上位の今場所の星取。
稀勢の里は、来場所がそれこそ本来の進退を問われる場所となるであろう。
万全でなかった栃ノ心は、よくぞカド番を脱したと言える。
御嶽海は、栃ノ心以外の横綱大関に勝つことはできなかった。次ぎの場所に大関獲りは持ち越されるが、未だ人気先行、力不足である。来場所でも難しいのでは。

平成30年秋場所、前人未踏、白鵬の41回目の優勝で打ち出しとなる。