神戸散歩(11) 竹中大工道具館。

日本のスーパーゼネコンと呼ばれる5社の内、竹中工務店は他の4社とはその趣きがいささか異なる。5社の中、唯一の非上場企業であること、本社を東京に移さず関西においたままであること、何より他のスーパーゼネコン4社に較べその歴史が圧倒的に長いこと。
創業は慶長15年(1610年)というから江戸時代の初め、400年以上前である。
そしてあとひとつ、他のスーパーゼネコン4社と決定的に異なることは、竹中大工道具館という博物館を持つことである。竹中大工道具館、この分野の日本唯一の博物館である。
新幹線新神戸駅のすぐ近く、帰る間際駆け込んだ。

落ちついた雰囲気の場。

それまでの地から、2014年にこの地へ移したそうだ。

趣がある。

閉館間近か、静かな佇まい。

入口が見えてくる。

栗の木を手斧(ちょうな)で削ったあとが美しい自動ドアがある。
そのドアの先には、やはり栗の木を手斧で削ったあとの模様が美しい同じような自動ドアが客を迎える。

設立の趣旨。

1階には企画展室やシアターが。常設展示は地下1階と地下2階に。
「歴史の旅へ」、「棟梁に学ぶ」、「道具と手仕事」、「世界を巡る」、「和の伝統美」、「名工の輝き」、「木を生かす」と大きく7つのテーマが設けられている。

「歴史の旅へ」から。


左に見えるのは、唐招提寺金堂組物の実物大模型。

こちらから。

法隆寺五重塔模型。飛鳥時代に中国から伝来した仏教建築。

石斧から鉄器へ。

製材技術も変革する。

京都伏見の桃山天満宮。

こういう一画も。

こういう一画も。

さまざまなノミ。

鋸が見える。

このような。

木の種類によって削った表面が異なる。
例えば、左の5つのものは・・・

左から、杉、檜、赤松、檜葉、栂の削った表面と削りかす。

明治から昭和にかけて、千代鶴是秀という鍛冶の名工がいたそうだ。
明治天皇も訪れたという千代鶴是秀の鍛冶場・九三房が復元されている。<広さ9尺×3間であったことから九三房と名付けられた>、と説明書きにある。
こんな鍛冶場なんて、こうして見てみないとまったく知らない世界であるが、それにしても明治天皇というお方はいろんな所へお出かけになっている。

和の伝統美、茶室のスケルトン模型。
スケルトン、骨組みだ。

このような掲示も。

なるほど。

本館の横の方に離れがある。
右の建物の中には茶室がある。

小さな・・・

石庭が。

企画展示室では今、「聴竹居 藤井厚二の木造モダニズム建築」と題する展示が催されている。
聴竹居、贅を尽くした和風建築である。
その撮影は許されていない故、ポスターのみ。


すぐ近くの新幹線新神戸駅へ戻る。
売店で駅弁と缶ビール、それに神戸新聞の夕刊を求め車内へ。

この日、6月5日夕刊の一面トップは、これ。
なんとー。
神鋼・神戸製鋼所、神戸が誇りとする企業である。
同志社から神鋼へ、平尾、大八木の神鋼ラグビー、日本全国に多くのファンを持っていた。北の釜石、西の神鋼であった。
それがである。データ改ざん容疑で強制捜査。
残念。


留守にすることもあり飛び飛びになりました「神戸散歩」、これにて打上げといたします。
久しぶりの神戸、面白かった。