超絶記録! 西山夘三のすまい採集帖。

「西山夘三の・・・」という主テーマの前に、「超絶記録」とついている。おまけに雨だれまでつけて。
記録、記録、何でも記録する人がいるが、この人の記録は半端じゃない。まさに超絶記録。

京橋のLIXILギャラリー。

建築家には事細かな図面を引くことばかりでなく、絵も描き文もものする人が多い。
が、西山夘三のそれは桁違い。何でも描き、書いてしまう。

西山夘三 WHO?

西山夘三(左上写真、その下は自画像)、子供の頃から絵が好きで、また上手く、漫画家になりたかったそうだ。

それが建築家となり、また学者として住宅そのものを体系的に採集する。
京の町家、名古屋の町家、大阪の長屋、・・・、・・・、と。

炭住も地域特性があるようだ。

精密なスケッチと文で。

例えば、「ドヤ」。

例えば、「木賃アパート」。
西山夘三の採集帖を見ながら私は、学生時代の古い仲間・石田宏のことを思い出していた。
石田宏についてはこの「流山子雑録」にも何度も記している。石田も建築家であり、絵と文をよくする。ただ石田宏の研究(調査と言ってもいいし、単に興味のと言ってもいいが)対象は、主に大衆食堂や大衆呑み屋である。さらに石田は、大衆食堂や大衆呑み屋の建築学的考察に加えそこに集う人間観察、つまり人類学、民俗学的考察も折りこんでいる。
なるほど石田宏、大先達・西山夘三の仕事をその根底に置いていたのか、と思うことしきり。
本線から外れ、横道へ入ってしまったか。

西山夘三自身の住み方も記録されている。

1940年から、




1972年まで。
そうだな。

『日本のすまい』。
全3巻の大著。

このような。

おそるべしーって。

西山夘三の日記帳が積まれている。
伊東忠太のことを思い出す。
伊東忠太についても「流山子雑録」では何度か触れた。西山夘三より遥か古い建築家。20年少し前、東大の総合研究博物館で伊東忠太の「野帳と日誌」を見た。数多くの「野帳と日誌」が積みあがっていた。
3年3カ月に亘り、中国、インド、トルコ、エジプト、さらに欧米諸国を巡り歩いた伊東忠太の「野帳と日誌」。

伊東忠太の「野帳と日誌」よりは少ないが、西山夘三の日記帳も凄い。

1945年1月4日から1946年1月5日までの西山夘三の日記。
横書きでビッシリと書かれている。

1947年1月1日から1947年12月31日までの西山夘三の日記。
これは縦書き。

記録魔・西山夘三、絵も得意なら文もこなす。

LIXILギャラリーの一室、室内が膨らんでいるように感じる。