横綱不在でも成り立った。

日馬富士が引退し、白鵬、稀勢の里が途中休場し、地味な鶴竜ですんなり決まりか今場所は、と思っていたら、その鶴竜が終盤、悪癖のはたきを連発ずるずると負け続けた。
横綱なんかいなくても初場所、十分に成り立った。

3時すぎニュースから相撲中継に切り替わったNHK、いきなりこういう映像が流れた。日本相撲協会理事長・八角の顔が。
八角、「お詫び申し上げます」、と語っている。一連の不祥事を詫びているらしい。

役力士を従えて。
その役力士、6人しかいない。初日の挨拶の時には、八角、9人の役力士を従えていたのに。白鵬、稀勢の里、阿武咲の3人が途中休場してしまった。
役力士が6人、これは寂しい。

その初場所を救ったのがこの男。
前日14日目に優勝を決めた栃ノ心。三賞の殊勲賞と技能賞も合わせ受賞した。

栃ノ心、今場所好調の遠藤を押し出す。
栃ノ心14勝1敗、遠藤9勝6敗。
次の一番も遠藤にとっては大きな一番であった。

千代大龍、大栄翔を押し出し8勝7敗、勝ち越した。
典型的なブルファイターである千代大龍をも贔屓にしている私、やったー、の歓声。が、遠藤にとっては、の一番でもあった。

様変わりしたな今場所の逸ノ城は、との印象のある逸ノ城、魁聖を寄り切り勝ち星を二桁に乗せる。
解説の北の富士と舞の海、「今年は逸ノ城が・・・」、と共に語る。そうかなー、私は訝っているが。

初場所が始まった折り、上り調子4人衆として期待した御嶽海プラス阿武咲、貴景勝、北勝富士、期待外れに終わった。
唯一勝ち越した御嶽海も、今日の高安との一番、このように投げられている。
4人衆、まだまだ修行が足らない。土俵の砂をもっともっと噛まなければならないであろう。

今場所の星取。
高安の力がひとつ抜けてるか。
昨日、遠藤の新三役の目も、と書いた。が、遠藤、西前頭5枚目で9勝6敗。東前頭3枚目の千代大龍が8勝7敗。2枚上の千代大龍の三役昇進が妥当。遠藤の新三役は、一場所お預けであろう。

八角から栃ノ心へ賜杯が。

栃ノ心のカミさん、ジョージアの幼なじみだそうだ。故郷・ジョージアへ帰り子供を産んだ。アナスターシアちゃん。日本のファンも祝福している。

栃ノ心、優勝インタビューでこう語る。
「親方、おかみさん、春日野部屋のみなさん、後援会の皆さま、日本の皆さま、そして私の国の皆さま、皆さまにお礼申しあげます」、と。
泣かせる。
昨日、栃ノ心が優勝を決めた瞬間、師匠の春日野は号泣したそうだ。「俺の時代に優勝力士が出てくれるなんて」、と。
春日野、今、問題を抱えている。自身、栃ノ心に今では責められる制裁を課してもいる。大相撲の世界、そういう世界であったんだ。
栃ノ心、それを乗り越えてきた。その師弟関係に感動を覚える。
横綱不在の場所など、どうってことない。ジョージアから来た男・栃ノ心が十分に補った。
横綱不在でも、大相撲の世界十分成り立った。

ところでジョージア、コーカサスの国。昔でいえばカフカスである。
カフカス、ロシアの下腹部である。ジョージア、以前はグルジアと呼ばれていた。
グルジア、スターリンの出身地であり、そのソ連をゴルバチョフと共に解体したシュワルナゼの国でもある。
ジョージア、黒海とカスピ海に挟まれた小さな国である。

ソ連崩壊後も、ロシアからはさまざまな圧力を受けている。

栃ノ心、ジョージアを担っている。
国民栄誉賞も検討されているそうだ。

初場所、終わる。