ジャニス リトル・ガール・ブルー。

「駆け抜けた」、という人生がある。
何かを成しとげ、そうでなくともその過程で幕を下ろした人生である。「駆け抜けた」、と言うには、少なくとも20代での死でなければ意味を成さない。
このブログで触れた近場では、エゴン・シーレやジェームズ・ディーンがそれにあたる。彼らは彼らの人生を駆け抜けた。
1970年、ヘロインの過剰摂取により27歳で死んだジャニス・ジョブリンも「駆け抜けた」。彼女の人生を。

<歌っているときだけ、ひとりじゃなかった。>って、そうじゃない時はひとりぼっちだったんだ。

『ジャニス リトル・ガール・ブルー』、その人生を駆け抜けたジャニス・ジョブリンを追ったドキュメンタリー。
監督は、エイミー・バーグ。嫌われ者、孤独なジャニスの心に寄り添う。

ジャニス・ジョブリン、1943年にテキサスで生まれる。
テキサス、今でもそうであるが保守的な地である。テンガロンハットにガンベルト、まさにトランプ好みの地。高校でも嫌われ者であったジャニス、テキサス大学へ進学するが、そこでもいじめられる。歌は歌っていた。R.&B.、ブルースを。テキサスの白人社会では、異端。
ジャニス、カリフォルニアへ行く。サンフランシスコへ。
サンフランシスコ、自由でありカウンターカルチャーの中心地、トランプ的なる町とは対極をなす町である。この夏前、京都嵯峨野の常寂光寺で会ったインテレクチュアルな母子もカリフォルニアから来たと言っていた。反トランプ、日本にいる間はトランプのことを聞かないのでせいせいする、と言っていた。
そのカリフォルニア、サンフランシスコへジャニスは行く。
保守的なテキサスからカウンターカルチャーの町・サンフランシスコへ。

渋谷のシアター・イメージ・フォーラム、狭いロビーにささやかな展示を行うことがある。
ジャニス・ジョブリンのレコードジャケットが。

ジャニスが表に出ていた時代は、1960年代後半の4、5年。
ヒッピー、反体制の時代、カウンターカルチャーの時代であった。

ジャニス、叫ぶような、唸るような、ふり絞るような声で歌う。
『Move Over』、『Summertime』、『Cry Baby』、・・・、・・・。
殊に、『Summertime』が凄い。元々ガーシュインの『Summertime』、ジャニスのブルースに完全に生まれかわっている。
それにしてもジャニス、まだ20代だというのに、4、50代のおばさんの顔である。

1970年、ロサンゼルスのホテルの一室でジャニスの遺体が見つかった。死因は、大量のアルコールとヘロインの過剰摂取。
孤独な心を癒すのはアルコールとドラッグでしかなかった。
ジャニス・ジョブリン、その人生を駆け抜けた。
その後の世界に、強烈な歌声を残し。


暫らく留守にします。
ブログも休みます。