秋場所、いい場所であった。

時代が移ろっていく、変わっていく。
阿武咲、貴景勝は21歳。朝乃山は23歳。私が贔屓の御嶽海は24歳。彼らが活躍した。外へ出かけた日を除き、10日間テレビの前に座った。
この秋場所、いい場所であった。楽しんだ。

この秋場所、こういうことから始まった。
3横綱の休場。

万全の体調ではないと言われる日馬富士は出場した。
ひとり横綱を保つため。
日馬富士、初日の土俵入り。

5日目の土俵。
私が贔屓の御嶽海、寄り切りで栃ノ心を破る。

松鳳山、照ノ富士を破る。

松鳳山も好きなんだ。
醜男好みなものでして。

この日、今売り出し中の若手・阿武咲が日馬富士を破った。
日馬富士、キレイに1回転。

序盤戦、5日目を終わって横綱・日馬富士、なんと3敗。
通常、横綱はこの状況ならば休場する。横綱には責任とともに、それが許されている。
しかし、今場所一人横綱を張る日馬富士、翌日からも土俵を務めた。
私は、日馬富士のファンではない。が、この日馬富士の行いに共感を覚えた。強い心を持った男だな、と。
この日、初日から4連勝の琴奨菊、初黒星となる。
逆に初日から4連敗の嘉風は初白星。嘉風、この後8連勝、千秋楽の今日、技能賞を受ける。真っ向勝負の嘉風、先場所にも記したような覚えがあるが、相撲道の求道者の道を歩んでいる。

10日目のNHK。

初代若乃花の呼び戻し。豪快な技であった。

27年前か。土俵の鬼、話も上手かった。
「今の力士は投げた相手の力士に手なんか差し伸べているが、私らの頃はそんなことはしなかった。投げた相手を睨みつけていた」、と語る。さすが、「土俵の砂には銭っ子が埋まっている」、と喝破した初代若乃花である。

初代若乃花の呼び戻しの映像、何度か流れる。

解説の北の富士とNHKの吉田アナウンサー、白鵬や貴乃花の呼び戻しの話をする。
北の富士、こう語る。「まあ、呼び戻しと言えばそうなんだろうが、初代若乃花さんの呼び戻しとは違うな」、と。吉田アナ、「力士の大型化がありますからね」、と語る。たしかにそう。平均160キロ前後の今の力士に呼び戻しをかけることなど、ほぼ不可能。
それにしても、75歳の北の富士は着流し。かっこいい。

呼び戻しを最初に使ったのは、太刀山とのお話も。

それよりこの日、貴景勝が日馬富士を破った。
日馬富士、4敗。

12日目、松鳳山、豪栄道を破る。

豪栄道、2敗。

しかし、まだ2差がある。

13日目の星取。

豪栄道、連敗。
負けた後の豪栄道、ずっと顔を伏せている。

今日の千秋楽、三賞はこう。
朝乃山も勝ち、この4力士が受賞。
若手3力士と大ベテランの嘉風。

日馬富士、よくぞ自力優勝の可能性までもってきた。
豪栄道、弱いよ、心が弱い。いかにカド番だとはいえ、序盤2日続けて変化するなんて。

本割り、どうなるか。

立ち合い低く突き刺さった日馬富士、豪栄道を寄り切る。
これで同星。優勝決定戦となる。

日馬富士、大銀杏を結い直す。
12日目まで2差であった力士の逆転は・・・

日馬富士、十両の照強を相手に立会いの稽古。

出を待つ豪栄道は、この表情。
こんなに固まっちゃったら勝つことなんかできないよ。

優勝決定戦。

日馬富士、一気に勝負をつける。
解説の北の富士、「これが横綱と大関の差」、と語る。
そうであろう。
おそらく、覚悟の差なんだろう。豪栄道には日馬富士ほどの覚悟がないんだ。ここ一番を思い切る覚悟が。

日馬富士、9場所ぶりの賜杯を抱く。

今場所の星取。
20代前半の若手が頑張った。嘉風、松鳳山の大ベテランも勝ち越した。御嶽海、松鳳山と共に醜男三人衆と私が呼んでいる千代大龍も勝ち越した。
横綱、大関の4人や5人、いなくともけっこう面白い。相撲の不思議。楽しんだ。