遠州三山巡礼(1) 法多山・河瀬和世「いのり」展。

ふた月ほど前であろうか、河瀬和世さんから手紙をもらった。7月1日から8月末日まで、静岡県の法多山尊永寺で和紙のインスタレーションを催すとの由。
法多山尊永寺なんて寺は、初めて聞く名である。調べてみたら袋井にある。古いお寺である模様。前夜ホテル観世に泊まり、7月5日、行った。

法多山へ行くバスは、袋井駅前から1時間に1本出ている。10時すぎに乗った。法多山まで15分ばかり。しかし、よくぞ1時間に1本走らせているな、と思う。
何しろ客は私ひとり。途中で若い男がひとり乗ってきただけ。その若い男は、静岡理工科大学前という所で降りた。静岡理工科大学、茶畑が広がる中にあった。驚いたことに、大学の周りに喫茶店もなければ食堂もない。コンビニさえ見当たらない。それらのものは学内にあるのであろうが、大学たるもの、単に学問をすればいいという所ではないだろうに、と余計なことを考えてしまった。袋井だ。
静岡理工科大学前を除き、すべてノンストップで走るバス、15分ほどで終点の法多山に着いた。
法多山へはこっちの方へ歩くようだ。

暫らく歩くと、立派な楼門が見えてくる。
入母屋造り、杮葺きの仁王門、室町時代のもの。重文である。
そもそも法多山尊永寺、神亀2年(725年)聖武天皇の命により行基によって建立された、と寺の略伝にある。現在は、厄除観音として知られるそうであるが、地元では名刹なんだ。

「法多山」の山号。
存在感がある。

法多山の案内図。
ウヘー、本堂まで上り15分となっている。

参道には誰もいない。
赤い幟には、万灯祭のほおずき市、7月9日、10日の四万六千日の文字が染め抜かれている。

本堂の下の石段に辿りついた。
あとひと息。

本堂。
右側に少し見えているお堂で、河瀬和世のインスタレーションが催されている。

現在の本堂は、近年再建されたもの。
「尊永寺」の寺号。

河瀬和世のインスタレーション「いのり」は、ここで。

本堂と河瀬和世のインスタレーションのお堂の間の廊下には、数多くの風鈴が吊り下げられている。
そこにふたりの女性がいた。お寺の人以外にこの日法多山で見かけた人は、この人たちだけ。
四万六千日の前の法多山。

河瀬和世のインスタレーション「いのり」と向きあう。
青い竹は、結界を示しているか。

「いのり」なんだな。

河瀬和世、白い和紙を変幻に使う。

灯りとのコラボ。

作家・河瀬和世のこういう言葉が貼られていた。
和紙に関し、「いのり」に関し。

河瀬和世のプロファイルも。

以下、いかようにも。






灯り、白い紙。
現実世界を離れた何処かの世界。

河瀬和世の「いのり」、鎮魂・たましずめでもあるような。

帰りは別な道。
このような道を下る。

バス停へ向かう。
風鈴の廊下のお二人さん以外、法多山中では誰にも会わなかった。

存在感のある楼門に別れ、バス停へ。