健さん。

健さん・高倉健が死んだのは2014年11月、もう2年半が経つ。速いものだ。
ニューヨークを拠点にしている写真家・日比遊一、健さんに関わりがあった人たちを訪ねたドキュメンタリーを撮った。

新宿駅中央口を出て少し歩いたK’s Cinema、時折り面白い作品をかけてくれる。

監督:日比遊一『健さん』。

逢いに行きましょうって、健さんに。

健さんだ。

マイケル・ダグラス、マーティン・スコセッシ、ジョン・ウー、降旗康男、澤島忠、山田洋二、梅宮辰夫、八名信夫、中野良子、立木義浩、川本三郎などによる健さん感。

マイケル・ダグラスやスコセッシが出てくると、作品の厚み、弥増す。

それよりなにより、健さんだ。
K’s Cinemaの内部。エレベーターを降りた所の床にこのポスター。
昭和残侠伝、死んでもらいます。
     義理と人情を 秤にかけりゃ
     義理が重たい 男の世界
     幼なじみの観音さまにゃ
     俺の心は お見通し
     背中で吠えてる 唐獅子牡丹
作詞:矢野亮、作曲:水城一狼、「唐獅子牡丹」。

エレベーターを降りたK’s Cinemaの壁面、健さんのポスターがいっぱい貼られている。

ニューヨークに長く住む監督の日比遊一が語るには、今アメリカで”KEN”と言えば、高倉健ではなく渡辺謙だそうだ。
『ラストサムライ』、『硫黄島からの手紙』、ブロードウェイの舞台にも立っている。”KEN”、渡辺謙で致し方なし。

しかし、渡辺謙はわたなべけん。「健さん」と言えば高倉健。

私たちの世代では、着流しに白鞘の長ドス一本、何と言っても任侠映画の健さんだ。

「網走番外地」、作詞:タカオ・カンベ、作曲:不詳。
     春に春に追われし 花も散る
     酒ひけ 酒ひけ」 酒ぐれて
     どうせ 俺らの行く先は
     その名も 網走番外地
ついで・・・
     キラリキラリ光った 流れ星
     ・・・・・ ・・・・・
     遥か遥か 彼方にゃオホーツク
     ・・・・・ ・・・・・
     追われ追われ この身を故郷で
     ・・・・・ ・・・・・
心に沁みる。

網走番外地に入ったことはない。
が、二度訪れた。

健さん、「寒青」ということを語っている。
漢詩の中の言葉だそうだ。
冬でも青いというか緑を保っている松のことを指し示す言葉だそうだ。
「寒青」、健さん、そうありたいと思っていたようだ。