品。

国のリーダーには「品」が求められる、やはり。
「品」って、「品位」、「品性」の「品」であり、「気品」、「品格」の「品」であり、「人品」の「品」である。
別に、「上品上生」でなくともいいが、せめて「上品中生」か「上品下生」ぐらいの「品」であることは必要だ。
出かけていたので、今朝のドナルド・トランプの記者会見は見ておらず、夜のニュースで一部を見ただけであるが、この男には「品」がない。
改めて、そう思う。武士の情けで「下品下生」とはしないまでも、「下品中生」かせいぜい「下品上生」である。
異なった考えは受け入れない。ロシアに個人的弱みを握られているのじゃないか、と報じたCNNの記者の質問はまったく受け入れない。 偽メディアのレッテルを貼ってしまう。自らの恫喝で白旗を掲げたフォードやフィアット・クライスラーにサンキューと語る。
アメリカの次期大統領は、ハローワーク業なのか。
半世紀以上も前になるが、日本国総理大臣・池田勇人がドゴールに会った。巨人・ドゴール、池田勇人をこう評した。「トランジスタ・ラジオのセールスマン」、と。日本人としては、いい気がしなかった。しかし、アメリカの大衆は、そのようなトランプを支えている。ただ、空しい。
トランプの語る言葉には、リーダーとしての理念も哲学もない。虚しい。
昨日、バラク・オバマは任期最後の演説を行なった。
医療保険のオバマケア、キューバとの国交回復、イランの核兵器開発の停止、オサマ・ビン・ラディンの殺害、・・・、さらにアメリカが内包する多様性についてを。
さまざまな人で成り立っているのがアメリカであり、外見や考えの異なる人たちを認め合うことがアメリカをより発展させる、と。
バラク・オバマの演説、ドナルド・トランプの言とは雲泥の差、月とスッポン。言葉だけではない。「品位」、「品格」の違いである。バラク・オバマの「品」、「上品上生」とは言わずとも、「上品中生」ではあろう。
その前日の10日、豊田章男がデトロイトでのモーターショーの場で語った。
メキシコの工場は撤回せず、アメリカ本土に今後5年で100億ドル(約1兆1500億円)を投資する、と。
豊田章男、「わずか5年の間に」なんて語っている。わずか5年であろうが、1兆円を超える額であろうが、トランプになめられている。まず、跳ね返さなきゃ、トランプにつけこまれるよ。
その前々日の8日、ゴールデングローブ賞授与式で、受賞したメリル・ストリープがこう語った。
「軽蔑は軽蔑を生む」、と。他者を受け入れない、他者を侮蔑するドナルド・トランプの言動に異を唱えた。
ドナルド・トランプ、すぐさま反論した。
「ハリウッドで過剰評価されているメリル・ストリープが・・・」、と。
ドナルド・トランプ、異なる意見は認めないんだ。オレだけが、オレだけがの男、アメリカのリーダー、世界のリーダーとして相応しくはない。
メリル・ストリープの発言の前日であったろうか、前々日であったろうか、20日までは副大統領であるジョー・バイデンが、ドナルド・トランプに対しこう語っている。
「大人になれ。君は間もなくこの国の大統領になる男なんだから」、と。
まさに、そう。
日本、ドナルド・トランプにどう対峙するのか、腹を据える必要がある。