さいたまトリエンナーレ(5) 多文化・異文化。

旧民俗文化センターでの展示に参加しているアーティスト、多彩。他民族、多文化。当然のこと多言語が伴う。ある個人から言えば、異民族、異文化、異言語ということになる。
年末も近づいてきた。で、今日はその匂いを感じた3人の作家をまとめて。

ソ・ミンジョン≪水がありました≫。
過去形だ。縄文海進でこのあたりまで海水が来ていたことは、先般の高田ツインズも創作の糧としていた。
水ってものは大事なものだし、神聖なものだし、何より美しい。

親切な貼り紙。助かる。

水が丸く映っている。
きれいだ。大宮の氷川神社で撮った、と説明書きにある。

ソ・ミンジョン、釜山の生まれ。
ソウルの大学を出た後、多摩美の大学院で学び、その後はドイツの学校でさらに学んでいる。韓国、日本、ドイツ、3つの文化を3つの言語、いや公式のウェブサイトでは英語を使用している故、4つの言語を使って理解し、適応しているのであろう。

ドローイング、版画、映像、写真、彫刻、インスタレーション、さまざまな発表を行っているようだ。
さいトリでは、ビデオ作品。

ソ・ミンジョンが映した丸いものに映る自然。木やおそらく水もどこかにはある。
あと2、3枚。



多文化が混じりあった縄文期の水であろう。




オクイ・ララ≪アダプテーション≫。
ここに記されているように、マレーシアは多民族国家である。
マレー系が多くを占めるが、インド系や中国系もいる。で、アダプテーション・適応ということになる。

多様な文化、背景、言語を持つ人が一緒に暮らす時、そこにはどんな葛藤、変容、適応、ズレが生じるのか。

アダプテーション、適応。

この点・・・

読めるといいが・・・

読みづらい。
広げられる人は、広げて読んでください。

はっきり言って私には、よく分からない。


畳の縁は。

ここまで常のありさま。




小沢剛≪帰って来たJ.L.≫。

部屋に入る。

右側。

左側。
小沢剛、「帰って来た」という作品を発表している。異民族、異文化、異言語という背景の下で。
野口英世をモデルに福島とガーナを結んだ「帰って来たDr.N」、藤田嗣治をモデルにした従軍画家の生活を描いた「帰って来たペインターF」。それに次ぐ第3弾がこれ、「帰って来たJ.L.」である。

ところで、小沢剛、何か引っかかる男だな、と思っていた。
考え抜いた末に思い出した。
2年前、MOT(東京都現代美術館)の開館20周年記念のMOTコレクション特別企画「クロニクル1995−」のパンフのトップに扱われているのが、小沢剛の作品であった。
小沢剛、藝大在学中の1987年から世界各地に「地蔵建立」を行っている。
テヘラン、モスクワ、ソフィア、エルサレム、ペシャワール、ラサ、天安門広場、日本でも羽田や国会議事堂、上九一色村などに。

小沢剛の行為、民族や文化、言語を飛び越えている。

あの4人組だ。
カンバスに油彩。

J.L.が歩く先には、長い黒髪にサングラスのアジア人・ヨーコが待っている。

この男、異文化が好きな男であったな。