樂土の森 現代美術展(10) 地下の舞台。
自然のものと融合した芸術空間を指向する樂土舎の活動、地中を掘った構造物も造っている。
「地下の舞台」。
揺蕩うような曲線を描く石組みで囲まれた「地下の舞台」、背面には鉄板と鉄柱が立ち、地には草と苔。とても優美。
「地下の舞台」、2009年に造られている。
下に小さく、”YOSUKE YAMASHITA MEMORIAL”、と記されている。杮落としは、山下洋輔のピアノだったと思われる。
「石ノ舞台」同様、さまざまなアーティストがこの舞台を踏んだのであろう。
実は、「地下の舞台」へ行くのには、横の方からショートカットもできるのであるが、正面から入っていくのが趣きがある。
右手の10本ばかりの柱のオブジェの後ろに入口がある。
その前に、中央に写っている何かが乗っている3本の柱。
これである。青森、三内丸山遺跡の建造物を思い出させる。
樂土の森の人の話では、今は取り外されているが、この三角の上に建造物があったそうだ。面白いな。
鉄でできた入口がある。
「地下の舞台」への。
入る。
鉄のトンネルである。
短いものであるが、鉄のトンネル。
鉄のトンネルの出口。
こちらから見た状況は、こう。
鉄のトンネルを出たやや高いところから「地下の舞台」を俯瞰する。
石、木、地中に穿たれたおそらく瓦、砂礫、そして鮮やかな色彩を放つ苔。
美しい。
夕暮れが近づく。
空の色彩も変化していく。
徐々に。
その姿、形も変容していく。
「お帰りになる時には仰ってください。お送りしますから」、と昼に迎えに来てくれていた女性から言われていた。「ありがとうございます」、と言い、今しばらくの空の変容を楽しんだ。
ピンクがかった時もあった。
秋も深まった。
しばらくするとこういう色調となった。
お言葉に甘え、駅まで送ってもらった。
大学時代を含め6年間東京にいたが、その後こちらに帰ってきた、というとても綺麗なお嬢さんが送ってくれた。
ところで樂土の森の現代美術展、とても面白かったし、樂土の森自体も面白かった。日常空間とは異なる異空間、幻惑空間、楽しんだ。
さらに、樂土の森で会った人、樂土舎の人、作家の人も含めすべて気持ちのいい人、優しい人であった。
得難い時間を持たせていただいた。
樂土の森 現代美術展、10回に亘ったがこれにてお終いとする。