樂土の森 現代美術展(5) 土の家(茶室)・ハンガール−フ。

昨日記した「工房・樂土の間」は、樂土舎創設初期の1998年に造られている。その後2003年にはユニークな建築物が造られる。
「土の家」である。茶室。

「土の家」、茶室が見える。

ごつい鉄の扉から入る。

扉の下には、このプレート。
「土の家」。
樂土舎の活動の主要なもののひとつに建築がある。この20年の間、さまざまな建造物を造っている。
代表のマツダさんを中心にさまざまな人が関わって、さまざまな建造物を造ってきている。その創造、制作の過程をも楽しむということであろう。茶室である「土の家」もそうして造られたものであると思われる。
「土の家」、はじめは杉板で屋根を葺いていたそうだ。しかし、杉板は長年の間に劣化する。
で、昨年から今年にかけ、奈木和彦さんのハンガールーフ・プロジェクトによる茶室再生を行なったとのことである。

路地を進み、お茶室へ。

このようなプレートがある。
奈木和彦≪道の巣≫。

奈木和彦プロフィール。
樂土舎のパンフから複写。

奈木さん、何と、石組み土壁の屋根にワイヤーハンガーを取りつけた。
夥しい数のワイヤーハンガーを。杉板に替えて。

石組みとワイヤーハンガーの取り合わせ、シュール。

ポロックだ。

躙口へ。
沓脱ぎ石で靴を脱ぎ、茶室に入る。

床には丸竹が張られている。
炉が切られ、蝋燭が灯されている。

その先に二曲一双の屏風がある。

ボケているが、このような紙片がある。
奈木和彦≪なみあい「枯れない花」vol.77≫。「なみあい」って、「変わらない」ってことなのか。
作家の奈木さんがいた。
この二曲一双の屏風、サテン生地に油彩したそうだ。
それにしても不思議な絵。不思議な色。深い絵である。
あまりにボウとしているので、暫らく後、今一度写真を撮りに行った。

これである。
蝋燭の灯の中の二曲一双の屏風。
茶室の屋根内部は、石を練った土で塗り固めている。味わい深い。
しばらくの間、この空間に身をおいた。
時が止まり、もろもろの観念が吹っ飛び、まだ生きていることの不思議さを、なぜか感じた。

茶室の屋根の天井。
明かりとりの窓がある。
イスタンブール・アヤソフィアの天井ドームを思わせる。

出る。
ハンガールーフの茶室。

左手には、水屋の土壁。
アヴァンギャルドとわびさびの融合、ここにも。