今年の受賞は殊の外うれしい。
カミさんは孫のところへ行っている。私は座いすに座っている。夕刻から飲んだ缶ビール2本でうつらうつら。
と、何か音がした気配がする。ついているテレビの音が大きくなったようだ。
ついているNHKの画面に、速報が流れている。
ノーベル賞を取ったらしい。
東工大栄誉教授の大隅良典。この人だ。
日本の学者、このところたて続けにノーベル賞を取る。今回も3年連続。
かねがね私は、ノーベル賞などというものは、毎年取るものではなく2、3年に一度程度取ればいいのでは、と思っている。毎年取っていれば、その内人材が枯渇し、「ノーベル厳冬期」、「受賞飢饉」がくるのではないか、と心配している。バブル崩壊後の失われた20年のように。
NHK7時のニュース、トップはノーベル賞ではなく猛烈な台風が沖縄に近づいている、というものであった。何十年に一度の台風だという。
大隅良典教授のことも知らなかったが、特別警報というものも知らなかった。
久米島では、最大瞬間風速、80メートルを超えることが予想される、という。たしか昔、タフガイ・裕次郎の台詞でも「風速30メートルか40メートル」ではなかったか。風速80メートルなんて、ハンパないではすまないよ。
その後のノーベル賞、大隅教授の画面には、常にハンパない台風情報が流れている。
細胞、というよりこのような絵、どこかで見たような気がする。
つい今しがたまで、「オートファジー」なんて言葉は知らなかった。
去年、ノーベル物理学賞を取った東大の梶田教授の「ニュートリノ」もそうであったが、今年の医学・生理学賞を取った東工大の大隅教授の「オートファジー」も草間彌生の作品を思わせる。草間彌生の水玉を。
天才・草間彌生とノーベル賞学者、親和性がいいんだ。
そうなんだ。
それよりも大隅教授、ノーベル賞を受賞した日本人として初の髭をたくわえた人物なんだ。
湯川英樹に始まり昨年までの日本人のノーベル賞受賞者、24人すべてが髭を剃っている。
外国人の受賞者では、アインシュタイン、ヘミングウェイ、スティグリッツ、髭をたくわえた男が受賞している。
だいいち、アルフレッド・ノーベル自身、髭面の男である。
日本、大隅教授の受賞によって、やっと世界に追いついてきたようだ。
私は嬉しい。
今年の受賞は、例年にもまして殊の外。
頬から顎にかけての大隅教授の髭が、私の髭とよく似ているからである。私は、口の周りにも髭があるのだが。
髭が白くなっているのも同じである。
それがどうしたと言われようとも、大隅教授のノーベル賞受賞、我がことの如く嬉しい。
こういう画面もあったが。
安倍晋三、首相の特権で電話をかけている。
2016年、ノーベル医学・生理学賞受賞者・大隅良典、日本人初の髭を生やした受賞者として記憶されるのではないか。