野坂。

<省線三宮駅構内浜側の、化粧タイル剥げ落ちコンクリートむき出しの柱に、背中まるめてもたれかかり、・・・・・、・・・・・、・・・・・、清太には眼と鼻の便所へ這いずる力も、すでになかった。>。
読点はあるが、句点の極端に少ない『火垂るの墓』(新潮文庫、昭和47年刊)の巻頭書き出し、作者・野坂昭如の原体験をその下敷きとしている。
名作・『火垂るの墓』の主人公14歳の清太、昭和20年、14歳であった野坂昭如の影絵。

今年初めのNHK、黒田征太郎・クロセイが語る野坂昭如の”戦争”、今月6日と15日にも記したが、まだ未完。
今日あと一日を費やす必要がある。

クロセイ、こう語る。

『ノアーレ』(2008年、講談社刊)も出てくる。
『ノアーレ』、「野哀れ」、「野坂昭如 / 言葉  荒木経惟 / 写真  黒田征太郎 / 画」、という先鋭的なコラボ。

同書でクロセイ、こう記している。
初めは野坂昭如の病との戦闘の姿を、と考えていたようだ。

2007年の野坂昭如である。
ロックでボトル1本は無理にしても、幾ばくかはやれたのであろう。

野坂昭如、杖を突いているが、こう語る。

巻末、野坂の記す「扉のむこう」から。14歳の野坂昭如。

『ノアーレ』所載の野坂、アラーキー、クロセイとのコラボ。

野坂、こう記す。

<70年前の今頃>ってなっているが、これ去年撮られたものかなー。昨年の野坂、このような姿であったのであろうか。元気に見える。が、それはいい。
問題は、<・・・・・、三宮駅構内で野垂れ死にした清太は、・・・・・、・・・・・、・・・・・。>の『火垂るの墓』の清太である。
野坂、こう語る。






半年前、2月4日夜半のNHK、野坂昭如の”戦争”を取りあげた。
8月、戦争の8月である。
私の8月は、昭和天皇と野坂昭如。ここ暫らくはそこに今上天皇の座が増してきた。
戦争の8月も過ぎていく。