お気持ち表明。

今日3時に今上天皇の「お気持ち」が放送される、と国民は知らされていた。私たち国民が今上天皇が生前退位を考えられている、と知らされたのは7月13日であった。驚いた。
今日の「お気持ち」表明、今上天皇のお心を明確に示したものであった。考えていた以上にお気持ち、お心を率直に語られた。

NHKでは2時半から「お気持ち」についての番組に切り替わっていた。
皇居、大内山を散策される天皇皇后両陛下。
ところで、画面左に憲法第四条が記されている。
この<天皇は、国事行為のみを行ひ国政に関する権能を有しない>、という条文が、生前退位を望まれる今上天皇の思いに、日本政府がいかに対応するかのキーワードとなる。

3時となる。
おことばが語られる。

今上天皇、こう語り始められる。
昭和天皇のやり残されたことを、自らの責務として引き継がれた今上天皇、その根底には常に先の戦争のことがある。

平成、28年となる。

こう述べられる。
あくまで個人の考えである、として。

しかし、今上天皇、憲法に記された条文の範囲ギリギリのところまで踏みこんだお気持ちを表明された。

今上天皇、宮内庁が考える公務の軽減策や摂政をおくということには無理がある、と明確に語られる。
天皇とは、与えられた職務に全身全霊で当たらなければならないからだ、と。だから、それが難しくなれば、次の世代に引き継ぐべきだ、と。今上天皇の思い、天皇という私たちとはまったく異なった存在である故完全に理解できるとは言えないが、責任感にあふれるそのお心はよく解る。

今上天皇、国内あちこちへ行かれている。
大災害にあった所へは、できるだけ早く行かれる。
即位後3年には雲仙普賢岳が爆発した。被災地へすぐさま入られた。阪神淡路や5年前の3.11、東日本大震災、今年の熊本地震、何らかのことがあれば天皇皇后両陛下はその現場に入られる。仮設住宅の床に膝をつき、被災者と同じ目線でねぎらいの言葉をおかけになる。その行為が国民を奮い立たせる。
旅はそればかりではない。
先の戦争での激戦地をはじめとする慰霊の旅もある。
皇太子時代から激戦地・沖縄には何度も訪れられている。皇太子時代には、火炎瓶の洗礼も受けられた。昨年は、ペリリュー島への慰霊の旅に出向かれた。
戦後60年のサイパンへの慰霊の旅も忘れられない。
70年前、多くの日本人が、「天皇陛下バンザイ」という言葉と共に飛び降りたバンザイクリフ、そのバンザイクリフに向かい深く首を垂れる天皇皇后両陛下の姿が忘れられない。

今上天皇、摂政をおくことも公務の軽減策にも、否定的なお気持ちを述べられる。

「終焉」という言葉も使われる。
以前から、「簡素に」、ということを述べられている。

今上天皇、法の規定ギリギリのところまで踏みこまれた。

憲法や皇室典範の規定は承知しているよ、とのことも示されながら。

11分の「お気持ち」表明、「おことば」、この言葉で終わった。
国民への理解してくれ、とのお言葉である。
日本国民、今上天皇のお心に心すべきであろう。今上天皇のお心を遂げていただくことを考えるべきであろう。

内閣総理大臣・安倍晋三、「天皇のお言葉を重く受けとめる」、と語る。
今上天皇のお言葉、おそらく安倍晋三が考えていた以上に踏みこんだお言葉であったと思われる。
「そこまで語られますか」、というのが安倍晋三の正直な気持ちであろう。安倍晋三、困っているであろう。
ここ数年、安倍晋三と今上天皇の鞘当てが感じられる。
少年時代とはいえ戦争を知る今上天皇と、戦後生まれの安倍晋三との、戦争を巡る思いの異なり。

今上天皇の退位を望まれるお言葉、海外メディアもすぐに報じた。
これはBBCのニュース速報。

今上天皇の憲法第四条に対する思い。


夜、NHKで「象徴天皇 模索の歳月」という番組が流れた。
その原点は、戦争。

今上天皇、こう語る。

日中の戦い。
そして、昭和20年8月15日まで。

戦争の中、と。
それだからこそ慰霊の旅、と。さらに弱者と共にある旅へ、と。

考えてみるに、今上天皇のお考え、美智子皇后によるところ大きい。